女神さま。「ママ活」に 沼る⑬

「お客様。まずは、落ち着いてください」


「そ、そうだな。

 冒険者たるもの、まずは健康を第1に………………

 なんてッ、してる場合かよ?!」


思わず、ツッコミをましてしまったが、誰向けのツッコミなのか?


――そう。このときの俺は、どうかしていた…



「お、お、、お客様。

 素晴らしい ツッコミ は、御見事ではありますが、さすがにそれはどうかと?」


「おまえ、それでも店長かよッ!」


――ほんとうに、このときの俺はどうかしていた……



「いえいえ。私は先月に入ったばかりのバイト風情ふぜいですので、店長ではありません

 ですが、お客様――」 眼鏡の奥に鋭い眼光をみた、気がした


(こいつは、只者じゃないな)



僭越せんえつながら、お相手の方は携帯電話をお持ちではございませんか?」


「あ、そういえば、そうだった。

 いや、騒いだりして悪かったな」 もやもやが、あっという間に解消した



俺は自分の携帯電話で、美羽さんのスマホに掛けてみる―――



  プルルルル  プルルルル


プルルルル


「――て、ここに ある だろッ?!」

「なんでだよッ!」 店員の ツッコミ がするどく空を切り裂く



――鬼笑なくらい、どうかしていたんだ、、、アハハ、、。


自宅を出る前から、自分が持ち歩いていたのを忘れていた

さっきまで『ママ活 掲示板』を見ていたのに、何をやっているのやら



「あ? ひょっとすると。

 3Fにある当店、会員制の上階フロアに行かれたのかもしれませんね」


店員のひらめきは神々しく、

その御姿は、まるで お釈迦さまのようであった、と後に俺は語ろう


「上の階にもあるのか? ありがとう、助かったよ!」

「はい。当店では、会員様と非会員様とでフロアを―――――

 って、お客様!?」


うしろで、まだ何かを 言っているようだったが、気にせず走った



たいした話じゃない、と思っていた



まさか、美羽さんを狙う『不倫/四天王』と出会い、陰謀の渦へと身を投げこむ……


もとい。


投げ込まれようとは、夢にも思わなかったのだ



つづく


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女神さまは、不倫したい。 越知鷹 京 @tasogaleyorimosirokimono

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