女神さま。「ママ活」に 沼る⑫

店内を見渡せば、白色を基調としたモダンな内装だ


全面が “プライバシーガラス”

上面には スモークフィルムを施されているようだ


明るすぎないように調光されている

おかげで、スマホの画面が見やすくて助かる


『ママ活 掲示板』の返信を待っていると


背後から、武骨ぶこつな体格の男性が5名も入ってきた

店員さんが訊ねると、ふたてに分かれて奥へと通された


――それなりに、混んできているな……


「美羽さん?」


後ろにいたの嫁の気配が、消えていた


慌てて、喫茶店の外を見てみるも姿がなかった――




( まさか、使うんじゃないだろうな……あのワザを…… )



 ざわっ…   ざわっ…


   ざわっ…    ざわっ…  ざわっ…



そう。


あれは、はじめて美羽さんと俺がデートで待ち合わせとしたと頃にさかのぼる――


かつて、「飲みニケーション」が流行はやった時代があった…


上司と新入社員の上下関係(実力の差)を“ハッキリと”させるみ会というやつだ


そのときに彼女から「休日デートをしない?」と誘われた

その頃の俺は、上司にデキル男か、試されているのだろうと思っていた



いや。

まさか、こんな 女神さまのように美しい女性が 自分と ガチデート だなんて夢にも思わないだろ、ふつうは……



( 実際に、待ち合わせ場所では5時間も待たされたしな ) 自然と溜息が漏れた


諦めかけて、帰ろうとしたときに――


彼女はさっそうと現れて、こう言った


「まさか、5時間もねばるとは思わなかったわ。

 ここまで、私にトイレを我慢させたのは、貴方がはじめてよ!」


このとき。頬染める彼女の顔に、俺の好感度は爆上がり、

彼女の膀胱ぼうこうは爆発寸前だったようだ


つまりだ。『Mマゾ男子』を喜ばせるために、


わざと相手の心をってからの“御褒美ごほうび”を演出したわけだ



 ――くそっ!!



あの、おそろしいワザを使うというのか…ここでッ!?



顔から血の気が引いていくのが、自分でもわかった



あんなパネル男子 ※1 の為に、そこまでやるとは思わなかったぜ ―ごくりっ――


この喫茶店から、凍えるような 冷たい視線を感じてしまう


まさか、店内の客すらも恐れているというのか?


いや。そんなハズはない……


あのワザを知っているのは、おそらく俺だけのはずだ


それとも気付いているというのか?


彼女から発するオーラが異様なほどたぎっていることに――


って、美羽さんが いないんだったΣ(゚Д゚;)⁉



「――あの、お客様。

 お顔色が優れないようですが、どうかされましたか?」



おろおろした顔を上げると、男性店員が心配そうに訊ねてきた



「店長。連れが、行方ユクエ不明フメイです!」



つづく




※1 

あまりにも話が長くなってきているので、

この物語の醍醐味である「ミステリー」をふり返りましょう…


ミステリ― … その1

 美羽みうは、いったい何処から等身大パネルを持ってきたのか?


ミステリ― … その2

 美羽みうは、ほんとうに女性なのか?

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