女神さま。「ママ活」に 沼る⑪

 ― 10:30 喫茶 サン・レモン ―


「やっと着いたな……」


俺と美羽さんは、テナントビル群の一角へやってきた

そこのひとつ。新築された8階建てのビルの入口へと向かった


目指すは、2階に入っている喫茶店だ

晴れた日は窓際から行き交う人々を見下せる場所――もとい見渡せる場所である


タワマンよりも大きめの入り口が、俺たちを歓迎してくれているようだ


 とはいえ―――………

 

指定時間を 大 幅 に 越えて、ついに、目的地へと辿たどり着いたわけだ



 ――いや、これ。大人として ダメ でしょ!――



隣で手を繋繋いくれている、美羽さん

その横顔は、まるで女神さまが転生して下さったような慈愛に満ちた笑顔だ……



 ――いや。確かに遅刻の原因は、俺だよ!

   でも、まったく意に介さずってのは、さすがにどうよ?

   これ。人として ダメ じゃねッ?!――


緊張と罪悪感で、おかしな表情になってきた

おまけに、意味不明な服装ときている。つぎは警備員に捕まりそうだな、おい…


「スバル、見て!

 なんだか、注目されてるみたいじゃない?」 明瞭活発めいりょうかっぱつな妻が笑いかける


「美羽さん。頼むから、眼を合わせずに進もう」 へんな汗が出てきた……


「いらっしゃいませ。何様でしょうか?」 え? 今、なんつった?


店員の言葉がへんに聞こえた。俺の思考が罪悪感で満たされていたから?

おかしな顔で店員を見つめていると、再び問われた


「お客様。何名様でしょうか?」

「へ? あ、はい―――」 しどろもどろの俺


「先にれが入っているの。だから、3名よ」 代わりに答える美羽さん。

 


 (だれか、コイツに罪悪感を教えてあげてくださいッ‼)



「ねぇ、スバル。あのサイトで連絡をとってよ?」

「そうだったな」


…このとき、俺は 未だに妻のスマホを持っていたことを思い出した


「すみません。ちょっと失礼します」

と店員さんに断りを入れてから、スマホを開いた


すると妻が、あろうことか―――


「ちょおっと~。胸ばかり見ないでよ~」 発情をはじめた


びっくりして、スマホを落としそうになった


妻が瞳で誘導した先に

バス停近くで見かけた、例の『犬ミミ』男優の そっくりさんがいた


「まさか……。アイツなのかッ?!」



つづく



 ◇



カクヨム・アニバーサリーに力をいれた結果、書き方が変わってしまいました

もう、あの頃の自分には戻れそうにありません (>_<)

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