女神さま。「ママ活」に 沼る④

「あのさ、美羽!

 どうして、不倫が いけないのかは、こないだ話したばかりだろ?」



「…そうね。この間のお仕置きは、とても好かったわ」


「はい?」


「見てよ、このあざ。まだうっすらと縄で縛られたあとが残ってるでしょ」


そういうと、妻は両の手首を見せえてくるのだが、



―― まったく、見当たらない――



「あのときのスバルのいやらしいかおは、今でも忘れられないッわ♡」


「いやいやいやいや。 ちょっと、待ってくれないか、美羽ミウさん」


「なぁに?」


「どうして、そんなに興奮してらっしゃるのでしょうか?

 暑さで、頭がおかしくなったわけではないですよね…?

 そもそも、この前って、僕はいったい何をしたんだ?!」


あれ、おかしいな……。ぼくは妻に説教をしてやるつもりだったンだけどな?


途中から混乱していると、美羽が上目うわめ遣いで 何かを期待しているじゃないかッ!



――ちくしょうッ!!



ぼくは、自分の理性の歯車が狂ってしまって、欲望のままに何かしでかしたのか?

そもそも、縄のあとってなんだぁあああ??!!


「ねぇ。いいのよ♡」


「いい、って、なにがさッ?! この前のぼくは、い、いったい…」


「えすえむ?」


「その辺の下品な男共と、なにも変わらんじゃないかぁあああ!!!」

と叫んで、頭を抱えながら床をゴロゴロと のた打ち、回想するけど、、、



――まったく、記憶にございませんッ!



「……私は常々思うのよ」


「はッ? どうした、きゅうに?!」


妻は、脈絡もなく、とつぜんに変なスイッチが入る癖がある――

よく騙されるけど、たまに『凄い推理力』を開花させるのだから、恐ろしい……


そんな彼女が、深刻そうな顔をして、喉元からお腹へとゆっくりと右手を滑らせる


その姿勢は、妖艶ようえんというよりもあいらしい姿で、おもわず悶絶もんぜつする


あぁ。いったい何を語り始めるんだろう。ていうか、鼻血でそうッ! ///



「どうして女性の身体には、子宮がひとつしか ないのかしら?

 ふたつ在れば、良いと思わない?」



「…ン? んん??」

 


「ひとつは、アナタの赤ちゃんのために


 もうひとつは、不倫相手の誰かのために


 そんなふうに、赤ちゃんを授かれたら、最高だと思うのよ」



「…至急? …立つ??」



「あなただって、そう思うでしょ?」



――なんだか、話が難しすぎてよくわからないけど、可愛いから何でもいいや!


とりあえず、すしかないなッ! 愛だよ、愛ッ!


「そうだね。ぼくも、常々思っていたよ」


そう言うや彼女の口から出た『不倫相手の誰か』という謎のキーワードに

やや引っかかるモノを抱えたけど、女神つまさまは、素晴らしい!


「美羽さんは、すごいや!

 容姿も良ければ、頭も良いね!」


「ふふ。昴ったら、そんなに褒められると照れるじゃないの /// 」


良いッ! その表情、その仕草!

そうだ、これは写真にして一生の宝モノにしなくては!


「カメラ、カメラ……」

と、――そう思い、自分のスマホを探し始めて、我に返る――



「いや、違うッ!

 そもそも、この≪パネル少年≫の返却先を探すんだった!?」



「え~、いいじゃん! もっとイチャイチャしよぅよ~

 ひさしぶりなんだから~♡」


「だまれ、痴女」


そう告げると、妻のスマホで検索した『ママ活 掲示板』に再び目を落とした


――なになに?


・人妻もママ活で「心の隙間を埋めたい」

・ママ活で「母性本能を満たそう」

・人妻ママ活で「モテる体験をしよう」


なんだ、このトップページは……(-_-;)


『ママ活男子から元気がもらえて…』

『ママ活で若い男子と絡みたい…』


あ、あやしい。危険すぎるぞ、このサイトは……(-_-;)



「ミ、美羽さん…。ほんとうに、このサイトを使って、

 この≪パネル少年≫の情報を見つけられるとお考えで? …ハハハ… … 」



ぼくは、最悪の表情で、乾いた笑い声を絞り出す



ぼくの背中からは、何やら冷たい汗が 流れはじめた




つづく



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