女神さま。「ママ活」に 沼る③

「う~ん…。警察に届けようか?」


「ダメっ! それだけはダメよ!

 ハゲ親爺おやじに借りができちゃうのだけは、絶対にイヤよ!」


と美羽が、激しく抵抗してきた

確かに、職場に迷惑が掛かる…のか?


さすがに、第1秘書が窃盗犯になりましたじゃ、環境庁への不信が生まれかねない


でも、環境庁へのバッシングなんて、いつもの事だろうに・・・


てことは、美羽の言っている「ハゲ親爺おやじ」って、まさか――

警察庁の中に お偉方の元カレがいるのか?


などと、深すぎる疑問と格闘していると、妻がスマホで例のパネルを撮り始めた


「あぁ、そうだね」

と、ポンっと手を叩いて≪グ〇グル カメラ検索≫の存在を思い出した


「さすが、美羽さん」と妻を褒める

「え? なに? どうしたの?」


「いや、だからさ。カメラ検索をしているんだろ?」

「ん? 思い出に撮ってるだけよ」


と、ケラケラと笑いながら返答した


このアマァ! と、思いつつ、怒りに任せて、美羽のスマホをむしり取る


「ぁー。ちょっと~ 並んで撮りたいなら~、私が撮ってあげようか?」


僕は あとで3人で撮ろう、と秘かに思いつつもカメラ検索を始める


「う~ん…。だめか…」

と呟いていると、「どうしたのよ?」と美羽が横から覗き込んできた


「さっき、カメラ検索をしてみたんだけど、まったく引っかからないや」


「ぷぷッ。科学に頼ろうとするからダメなのよ!」

と、ビシッと指を差してたしなめてくる…なんだろ、腹が立ってくるな


「捜査の基本は、足よ、足!」と言って、スマホの画面を見せてくる


おまえも、科学の力を使ってるじゃないか、と呆れつつ、画面を見やる



――そこには、『ママ活 掲示板』と書かれていた



「おい。おまえ、何だよコレは?」

「これは、マイ ブレイク中の『ママ活 掲示板』よ!」


と、ドヤ顔で言って、胸を張る


そういえば、パンツ1枚だったな・・・と呆れてしまった


「とにかく。何か着ろよ…美羽っさん はだガッ――」

と、美羽は 僕の顔を胸の谷間で包み込んで、ベッドに押し倒してくる


「良いではないか、良いではないか」と、はしゃぐ彼女



――こ、これはいかん! 理性が吹っ飛んでしまうッ!



急いで立ち上がり(どこが?とは言う勿れ)、

美羽の頭上に チョップを食らわせてやる


美羽は、「いた~い」、と頬を膨らませて、抗議してくる

うん。めっちゃ、かわいい。って、いかんいかん!


これから “パネル少年”の出処でどころを探すんだった


僕は、もう1度、スマホの画面に目を落とす


……あれ? やや遅れて気が付いた


「でもこれ、登録しないといけないんじゃないかな?」


そんな疑問に、まるで女神さまのように、彼女は微笑みかけてくる


「問題ないわ! こんな事もあろうかと、

 1週間も前に、しっかりと登録しておいたわよ!」と意気揚々と応える


呆れと、怒りが渦巻いて、もう声を張り上げるしかなかった


「くのッ。お前という奴は。お前という奴は、

 どうして、そんなに、不倫がしたいんだよッ!」



ツッコミと同時に、ぼくの【ジェラシー】が、火を噴いた――



つづく



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る