差別について



 これは、ロスではなく、東海岸に行った後の話ですが。


 英論文スキルを向上するための、日本人向けの塾で、観た映像の話です。


 確か、税率や治安?の話のドキュメンタリーで。

黒人の女性が、

「〇〇のことについて、私は反対です」

と言って、

白人の女性が、

「こんなうれしいことはないです!」

とコメントしていました。


(細かい内容は実は覚えていないのですが、だいたいこんな感じだったと思います)


 それを観た、私たち日本人の生徒たちが、

「黒人の女性は増税に反対って言ってて、白人の女性は治安が悪くなるのが嫌で増税に賛成ってこと?」

 とほぼ全員が考え、それに対して意見交換をしあったところ。


 実は、全くの逆、ということがありました。


 よくよく見ると、黒人の女性はいかにも高そうなお洋服を着ていて、逆に白人の女性は、ジーンズにトレーナーという服装で、もちろんどっちがいい悪いではないのですが、少なくとも黒人の女性が金銭的に困窮しているわけではないことはすぐにわかりそうなものなのに。


 私たち、幼い子どもたち全員は、バイアスに目が曇ってしまっていたのでした。


 海外で、さまざまな理不尽や、面白い体験、幸せな経験をしてきたことで、

 私はあくまで一日本人で、一アジア人、そして一地球人だという意識を心に植えることができたのに。

 それなのに、いざというときには、心や視野の狭さが、ふと露呈してしまう。


 そんな時、自分が恥ずかしいな、でも恥ずかしいと思える自分でまだよかったとも思えたり、いろいろと複雑でした。


 このように、人は自分と少しでも違う存在に、過度に誤解を抱いてしまいがちなので。

 私が東海岸の方に引っ越した時。

 アジア人の比較的多い西海岸とは違い、アジア人の少ない地域では、少し肩身が狭い思いをしてしまうのも、無理もないことでした。

 もちろん、それが行きすぎていた時に、きちんと怒ることができなかった、私の気弱さは今も心残りです。

(けれども、社会の中で理不尽も多くある中で、私自身も正しくあれなかったことは仕方がないし、自分の限界を自分だけは認めてあげようとも思っています)


 私は、特に自分自身のことを考えて言うのですが、心の奥底までニュートラルな人には、今まで会ったことがありません。

 なぜならそれは、自分と違う社会習慣を持つ、自分と違う存在を、100%受け入れるということに、他ならないのですから。


 そう思うと、どこかの首相が、「これは差別という意図はない」と断言されていたのが、そういったリテラシーに関してはなんとも無知だなあ、とも思ったり。

 私が大好きなフランス映画「最高の花婿」シリーズで、頭でっかちな父親二人が「これは断じて差別ではないが、世の中の流れが早すぎてついていけない」などとほざいてたのが、いみじくも「そこからが始まりだよ、そこで思考停止すな!」と思ったり。


 最近読んだ本で、人間は集団で生きることで生き残った人たちの子孫だから、DNAから言っても協調性の高い、善性の強い生き物だけど、逆に社会的な生き物なせいか、自分と同種のものに共感し、違う存在にはどうしても警戒心を持ってしまいがちとありましたが。

 もしかしたら、その自然な本能が、悪い方に行き着くその先が社会の分断、さらにはホロコーストや、今ウイグルや世界各地で起こっている悲劇なのかもしれません。


 どんないい人、善良な人、立派な人でも。

 なんらかの偏見と思い込みに凝り固まっている面が必ずあって。

 それは、どの地域に行っても、同じでした。


 けれど、世界を平和に楽しく運用(??)していくためには、違う人たちと共に生きていくことが、避けて通れません。

 そして、皆より幸せな人生を生きるために、日々人生を整えています。

 その中で、利害関係がぶつかったり、あるいは、昔私が何度も経験したように、単純に自分と違う人間にその都度警戒心を抱いていては。

 幸せが遠ざかっていってしまう。


 その選択は、自分という孤島に一人引きこもるという、選択なのですから。


 人と共にあって、人を愛すること、

 日々後悔のないよう取り組む自分を信じること、

 よりよい明日が待っていると希望を持つこと。


 これらは幸せな人生を送るための大原則だと、昔教わりました。

 人間は社会的な生き物である以上、一人では生きていけません。


 まずは、自分から。

 マイケル・ジャクソンの、”Man in the mirror”の言葉を、忘れないようにしたいです。

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