第84話 ダンジョン発見

「シンイチー! ライラー! ようやく戻ってきたかー!」

「うっううっー!」


 俺とライラがグレイベア村に到着するとルカとグレイちゃんが満面の笑顔で出迎えてくれた。勇者捜索から戻って以降、グレイベア村に顔を出すのは今日が初めてだ。


「そろそろ練乳が切れそうなので心配しておったのじゃー!」

「うっうっー!」


 そんなことだろうと思ってたぜ! 俺はお土産に持ってきていた練乳チューブ12本入りの箱をドラゴン幼女のルカとグレイベア幼女のグレイちゃんにひと箱ずつ渡す。


「あと10箱持ってきてるから」

「ふぉぉぉぉ!」

「ううっうー!」


 買い物かごが3つ使えるようになってから、神スパで何かと箱買いすることが多くなってきた。練乳チューブの箱買いも最近では頻繁に行うようになっている。


 買い物かごは勇者捜索クエストの完了でひとつ増やすことができた。後のひとつは「男の娘を攻略せよ」クエストの報酬だ。


 クエスト内容はとにかくもの凄かった。もの凄すぎて記憶のほとんどが伏字になるので言語化はしない。ただこのクエスト以降、イリアくんがミニスカメイド服のような露出の多い女性ファッションで、やたらと俺を挑発してくるようになってしまった。 


 女性ファッションと言えば、神スパのゴールドメンバーになったので2階フロアが使えるようになった。若い客層をターゲットにした2階フロアでは、若者向けの衣料・化粧品の他、寝具等の購入が可能になっている。


 これの何が凄いって?


 まずライラにカワイイ服を着せるだろ?


 ライラって何着てもエロいじゃん?


 当然、俺は押し倒すわけ。


 もちろん、ライラも押し倒されるじゃん?


 そこから何時間もハッスルするじゃん?


 疲れるよね?


 でも別の服を着せるとね?


 また最初に戻るわけ。


(ココロ:猿ですか?)

(シリル:猿ですね)


(二人とも酷くない!? 見てよ! 今日のライラのホットパンツ! カワイイでしょ? 可愛いよね? エロいよね?)


 二人とも答えなかったがジト目だけは伝わってくる。

 なんでさ! ライラのホットパンツ&へそ出しシャツ、カワイイだろ!


「なんじゃシンイチ、また頭の中の精霊と話しておるのか?」


「んっ、あっ、ごめんごめん。そういえば俺に相談があるんだったよね。ソワソワ」


「そうなのじゃが……」


 ルカとグレイちゃんも俺とライラにジト目を向ける。


「まずは交尾を済ませんと落ち着いて話もできそうにないのぉ。お主ら専用の寝室を用意しておるから交尾してこい。2時間後に食堂に集合じゃ」


 そう言ってルカが扉を指さした。扉には「シンイチ&ライラ交尾中」という木札が掛けられている。


「じゃ、2時間後ね!」

「あっ、シンイチさま……」


 俺はライラの手を引いて扉へ向かう。


 俺とライラが食堂に出向いたのは4時間後のことだった。


 全部、ホットパンツが悪いんだ……。




 ~ 賢者モード ~


「ダンジョン? この穴倉に?」


 すっきり賢者モードで思考がクリアな俺はお肌がツヤッツヤッのライラと一緒に食堂のテーブルでルカたちの話を聞いている。俺たちをずっと待っていたルカとフワデラさんの顔には少々疲れが浮かんでいた。


「穴倉にもう少し部屋を作りたいと思って削っておったら、古代魔法の扉を見つけての。開いてみたらその先にダンジョンが広がっておったというわけじゃ」


「探索にはシンイチ殿にもご同行いただければと思いまして、今回ご相談に来ていただいた次第です」


 鬼人のフワデラさんが申し訳なさそうに頭を下げて言った。4時間も待たせた相手にそんな低姿勢で……なんて出来た人なんだ。


「いいですよ」

「さすがはシンイチじゃ! 話が早い!」

「ありがとうございます」


「それで、そのダンジョンの入り口ってどこにあるの?」

「なんじゃ、お主らの交尾部屋にあったじゃろうが? 気づかなんだか?」


「ありましたね」とライラが答える。

(ココロ:ありましたよ?)

(シリル:ありましたけど?)


 なんだってー! 気づいていなかったのは俺だけなのか!?


「ライラしか見てなかったから全く気が付かなかった……」


「シンイチさま……」


「ライラ……」


「……」※沈黙


「……チュッ」


「やめんかぁぁぁぁ!」

 

 ルカが俺とライラの間に割って入る。さらにルカはドラゴンのカワイイ尻尾で俺をビンタする。


「ううっうー!」


 いつの間にかグレイちゃんが俺の足を齧っている。


 フワデラさんがテーブルに肘をついて頭を抱えていた。




 ~ ダンジョン突入 ~


 話が進まないということで、とりあえず全員でダンジョンの入り口に移動した。


「これがダンジョンの入り口……」


 それは金で謎の紋様が描かれている青銅製の扉だった。扉の前には「ダンジョン入り口。立入り厳禁」と木の看板が立て掛けられている。


 俺が看板をどけて扉に触れると扉が勝手に開いていった。


「おぉ、自動ドア……」


 そして扉の向こうにはいかにもダンジョンという石壁と下に向かう階段があった。


「この地下から凄まじい魔力が吹きあがって来ています」


 フワデラさんがそんなことを言う。俺も一応は魔力を持っているはずなんだけど、魔力の感受性はゼロらしく、まったく何も感じなかった。


 俺の目の前にイルカに似た姿の風精霊ウィンが顕現する。


「シンイチ様、地の底から凄まじい魔力が吹き上がってきています」


 ウィンの言葉を受けてライラが、


「シンイチさま……わたしもこの下から何か大きな力を感じます」


 なんて言い出した。またまたフワデラさんが、


「シンイチ殿、わたしには凄まじい覇気のようなものに思えます」


 とか言い出した。するとルカがそれを受けて、


「そうか。幼女のわらわにはわからんが、ヴォルちゃんや他の精霊たちも何かを感じているようじゃ。やはりこの穴倉には魔力の源たる何かが眠っておるのじゃろうな」


 なんて言い出し、ついにはグレイちゃんまで


「ううっ! うっ! うっ! うっー!」


 訳知り顔になって何度も頭を上下させてうなずいた。


 お、俺も……


「だ、だな……ここからは凄まじい波動をビンビン感じるぜ!」


 わたくし、嘘をついてしまいました。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る