第61話 清算、そして無能なドラゴン
(ぴろろん!「緊急女神クエスト:はじめての妖異狩猟」が成功しました)
≫ ★成功★ 緊急女神クエスト:はじめての妖異狩猟
≫ クエスト報酬が支給されます。
≫ (捕獲)EON 10万ポイント(支援精霊ボーナスあり)
「そういえば【幼女化】したのとは別に報酬がもらえるのか」
(はい。わたくしの口座にも、ふひっ)
(ふひっ?)
(いえ、何でも。今後は神界クエストの受注が可能ですが一覧表示しますか?)
(それはまた後で、それよりもショゴタンに【幼女化ビーム】を何度も打たないといけなかった件だよ)
(申し訳ありません。あれはわたしにも予想外でした)
下手すりゃ死んでたけどな。助かったからいいけどさ。
(今回の件は開発部に報告して対応してもらうようにします)
(頼んだよ。やっぱり妖異が特殊な存在ってことが原因だったりするのかな)
(その可能性は高いと思います。妖異の実態はほとんど分かっていませんから)
ココロチンが会話を終了させようとしたので、俺は最も肝心なことを再確認する。
(同人誌……)
(わかってます)
~ 魔法 ~
ショゴタンに対してネフューたちが使った【火の矢】の魔法は、火の精霊を使っていた。
森の守護者たるエルフにとって火の精霊は相性が良いとは言い難い。エルフだから火を使わないということはないが、火の精霊を使役するとなると話は全然違ってくる。
ルカは100均ライターと組み合わせることで、エルフが火の魔法を制御できるように火の精霊を説得した。そして、その流れを作ったのは何を隠そう俺の一言だ。
「ルカってさぁ、最強のドラゴンのくせに幼女になったら全然強くないよね」
「なんじゃと!?」
「いや、別にルカが悪いってことじゃないんだけどさ。世間一般的には、ドラゴンが幼女化しても凄い魔力を行使できたり、物理がバカ力だったり、『さっすがドラゴンさん! マジパネェっス!』みたいな活躍したりすると思うんだよね」
「もしわらわが自分の意思で幼女に化けておったら、そういうことも出来んではないぞ」
「そういうドラゴン少女って、主人公のパーティで高火力出して、魔物なんか束で掛かってきてもドラゴンブレスで殲滅!とかさ」
「ただの幼女でなければ、そういうことも当たり前に出来るが……」
「それがさぁ、うちのルカちゃんときたら、毎日毎日喰っちゃ寝、喰っちゃ寝してばかりで……いや俺もそういうの嫌いじゃないけど」
「貴様! 何が言いたいのじゃ! わらわを無能とでも!?」
「いやいや、幼女ってだけでルカちゃんは十分なんだよ。君は君のままでいいんだ」
俺がキリッと決め顔でそういうと、ルカのおでこが俺の鼻先にぶつかってきた。
「痛ぇ! 何すんのさ! 頭突きしたら危ないでしょ!」
「たわけがっ! 確かに今のわらわは、お主の【幼女化】のせいで力を全部失っておるが権威までは失っておらんぞ!」
「わかってる! もちろんだよ! ルカちゃんは偉い! とってもいい子だから! いい子だから俺の鼻を食べようとしないで!」
「レロレロレロレロ! ぷはぁ!」
ルカが俺の鼻を舐めるのを止めて、両手を腰にふんぞり返りながら大声で言う。
「よかろう! 愚かな人間の中でも最底辺のDTであるシンイチにも、わらわは寛大じゃ。わが権威の一旦を見せてやろうではないか」
そう言ってルカは手のひらを高く掲げる。
「我が眷属ヴォルカノン、出でよ!」
ルカの手のひらに炎が揺らめき立った。
「おぉ、凄い! ルカちゃん魔法が使えたんだ!」
「これは魔法ではない。今のわしに魔力を行使することはできぬ。お主のせいでな! これは我が眷属にして
ルカが差し出す。目を凝らすと手のひらの炎の中に山椒魚みたいなのがこちらを見ていた。
「おぉ、山椒魚みたいなのがいる」
「これが火の精霊じゃ。わらわに忠実な眷属であり、わらわがドラゴンの力の大半を失った今でも、わらわの呼びかけに応じて顕現してくれるのじゃ」
「おぉ! ルカちゃん……マジパネェッス!」
「そうじゃろ、そうじゃろ、マジパなんとかじゃろ!」
ルカちゃんは他にも多くの眷属を従えている。眷属になった経緯はそれぞれ異なるので、幼女になったルカちゃんにも忠誠を尽くしてくれるものだけとは限らない。なかには離れていったものもいるという。
(探知)
▼ ヴォルカノン(火精霊)Lv55 〇
「おっ、これ幼女化できんじゃん! それにしてもレベル高いな」
「やめんか! たわけ!」
ルカは俺からヴォルちゃんを守るように隠した。
後でココロチンに確認したところでは、ヴォルちゃんは実体化の度合いが高いので幼女化が可能というだけで、精霊ならなんでも幼女化が可能ということではないようだった。
それにしても……。
「ルカちゃん、無能なドラゴンとか思っててゴメン! 君は凄いドラゴンだったよ!」
「わかればよい、わらわは寛大じゃからな!」
ルカちゃんは練乳チューブ5本で手を打ってくれた。
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