第3話 異世界ハーレム展開プラン
「チョット、ナニイッテルカワカリマセン……」
これが、キモオタのハーレム展開プランをすべて聞き終えた俺の感想だ。
その中身を簡単にまとめると、要するにキモオタ師匠が付与するスキルを駆使してハーレムを作れというシンプルなものでしかなかった。
最初から「どうせたいしたプランではないのだろう」とは予想していたので、概要を聞いたこの時点では、それほど驚きも落胆もしなかった。
「成る程。師匠から頂いた無双スキルを使って、ゴブリンに襲われている美少女をバンバン救出。恩を売りまくり、好感度を稼いでハーレムパーティを作れと言うことですね」
「だいたいあってますぞ。しかし我輩の付与するスキルを使えば、そんなまどろっこしいことをする必要もありませんなwww」
「そうなんですか!?」
「うはっwww 聞いて驚くのですぞ、我輩が付与するスキルは……」
俺は目をキラキラさせてキモオタ師匠に尊敬のまなざしを向けた。
「究極スキル【幼女化】ですぞぉぉぉwwwwww」
「おぉ! ……って、はぁぁぁっ!? なんだそれ!」
これ以降、俺がキモオタ師匠に尊敬のまなざしを向けることはなくなった。
~ キモオタ師匠の解説 ~
「まず最も重要な【幼女化】スキルについて説明いたしますぞ! 」
最大級のふんぞり返り姿勢で、キモオタ師匠は「フンスッ!」と鼻息を排出する。一方、俺の目からは一切の光が消し飛んでいたが、そんなことは完全無視でキモオタ師匠は熱く早口で語り始める。
「このスキルは対象を幼女にしちゃうのですぞ。 対象に触れた状態で『イェスロリータ!』と叫ぶと発動ですなwww 幼女化したら『ノータッチ!』と叫んで直ちに触れるのを止めるのですぞ! 紳士のたしなみですぞwww」
「……」※俺、放心状態
「スキルの効果や持続時間はレベル次第ですぞ! 最初は対象の意識も完全に幼女化され、その効果は2時間というところですな。あとスキル発動には
「???」←俺の頭の中
この間ずっと俺は、この幼女化スキルで、一体どうやってハーレムを作ることができるかについて一生懸命考えていた。だがインテリ入ってない俺の脳では、いくら考えても答えを導き出すことはできなさそうだった。
「続いて、転生時の同志田中殿のステータスですなwww」
突然、俺の視界にコンソールパネルが現れる。
【転生直後のステータス】
名前:シンイチ・タヌァカ (レベル1)
年齢:12歳
職業:無職
「体力や魔力などは、転生世界での同年代少年のおよその平均値となっておりますな。職業については昨年度の実績に合わせましたぞwww」
「なんで今年じゃないの!?」
「続いて【加護】と【スキル】ですな。【加護】は常時発動状態、若しくは魔力消費なしで発動できる能力ですな。【スキル】というのは、基本的に魔力消費を伴う能力で、【加護】と違ってレベルが上がるにつれてその力も増していきますぞ」
ピラリンッ!と音がして、視界のコンソールに加護とスキルについての情報が表示された。
【加護】
【幼女化発動】幼女化スキルの魔力消費を0にしますな。
【空気化】その場にいる人間から空気扱いされる能力ですな。
【同志強化】魂の共鳴した同志のやる気を鼓舞しますぞ。
【スキル】
スロット1:【幼女化】対象を幼女化しますぞ。
スロット2:【巨乳化】対象を巨乳化。野郎には使わぬよう注意ですぞ。
スロット3:【女体化】対象を女体化。レベルが上がれば容姿指定も可能ですぞ。
視線をコンソールからキモオタに向けると、ヤツは全身で「ドヤッ!」という圧を俺にぶつけてきた。殺意が沸いた。
「スキルの発動には魔力を消費しますが、スロット1に固定された【幼女化】だけは我輩の加護が働くので魔力消費0で発動可能ですな!」
「???」←俺の頭の中
「スロット2と3には他のスキルを付け外しすることができますぞ。発動手順はスキルによって異なりますが、それは後でココロちんに聞けばいいですなwww」
「???」←俺の頭の中
~ 転生開始 ~
「さぁ、まもなく転生時間ですぞ! 我輩のこの究極スキルを駆使して、同志田中殿が、ハーレム生活を送るようになることを心から期待しておりますぞ! 」
「えっ!? 転生? このスキルで!? えっ!?」
「そうですぞ! 応援しておりますからなwww」
「チョット、ナニイッテルカワカリマセン……」
俺はハイライトオフを通り越してトゥルーブラックの眼でエンジェル・キモオタにジト目をぶつける。
俺の絶望が物質化できればヤツを射殺せただろうに……。
「幼女化? 巨乳化? 女体化? 他のスキルはないの? こんなんじゃゴブリンだって倒せないよ?」
「フハハハ! ゴブリンなぞ幼女化してしまえば恐れるに足らずですぞwww そして我輩が付与できるスキルはこの3つだけですなwww」
「ちょっ、マジ無理! 無理だから! こんなクソスキルで転生したら死ぬるから! ちぇ、チェンジ! 担当天使チェンジで!」
「ふぬ。我輩以外で現在動ける担当となりますと、スキル【野獣先輩化】持ちの天使しかおりませんが……」
「えっ!?」
「田中殿がどうしても希望されるということでしたら、担当をチェンジしますがwww」
「ぐっ……ぬぬぬぬ……そ、それは無理……か……」
「どうやら状況をご理解いただけたようですなwww ナニ、悲観することは全くありませんぞ。我輩、同志田中殿がこのスキルを上手に使いこなすことができるものと確信しております故」
そんな信頼いらん!
「そうそう。いきなり異世界に一人で放りこまれる転生者には、女神得点としてココロちんも付与されますぞ。何か困ったことがあったら相談すると良いですぞ。ただしお前の頭の中でな! ですぞぉぉぉwwwwwww」
視界がぼやけて行く……。
「ちょっ、まだ説明終わってないよね? 俺って具体的に大陸のどこに飛ばされるの? 裕福な貴族の家庭に転生するとかじゃないの?」
「www」
俺の視界が暗転した。
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