第二章 嵐の前の初仕事

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 空良くんが青い車で駐車場に滑り込んできた。助手席に乗り込むと、エンジンをウォンウォンと派手にふかす。


 その時から感じていた。彼の運転は思ったよりも大胆かつワイルドだ。

 取り立てて運転が下手というわけではないのだけど、隆二さんのようなメリハリがありつつも、滑らかに走りあまり酔いを感じさせない安定感とは違う。空良くんの運転はちょっとスリリング。


 って車の免許持ってない僕が偉そうに言えるものでもないのだけど。


 カーナビに搭載されている女性の声が次第に目的地に近くなるにつれ、僕に心の姿勢をただせ! と煽ってるような気がした。


 スタジオは以前ボーイズラブを撮っていたところとは違って赤坂にあり、近代的なビル群に挟まれたちょっとした緑地のところに建っている。


 さほど大きくは見えなかったが、建物は立派でハイセンスな造りだ。形は長方形だけれど、外壁がわざとコンクリートのむきだしのような形でそこに右斜めに大胆にカットされた部分は大きなガラスが覆ってる。


 オレンジ色に白い縁でSEIEI STADIOと文字が型どられたステンレスのプレートが、ガラス窓の部分にはり付いていた。


 ビルに隣接した青空駐車場の来客用のスペースに空良くんは車を止めた。僕らはそこで降りるとすぐに撮影所に向かう。

 入口からして二重の自動ドアが続いていて、以前ボーイズラブドラマを撮った撮影所の手動のドアと違う。


 受付には前のような守衛さん兼、受付のおじさんではなく、制服をエレガントに着こなしたお姉さん達がほのかに甘い香りをさせて笑顔で対応していた。

 洒落たオレンジ色の制服の胸元の真っ白なシャツに、入口で見たロゴと同じ文字が胸のプレートに書かれてある。


 空良くんが受付のお姉さんにアポイントメントの話をすると、状況を理解したお姉さんはすぐににっこり微笑んだ。誰かに電話で僕がきたことを伝える。

 そこで紐で首に引掛けられる通行証をもらうと、エレベーターで二階に行く。このビルは七階建てだった。


 今日は会議室ではなくて、直接控え室に向かった。

 入口には僕の名前が書かれてあるネームプレートが見え気持ちが高揚してくる。


 控え室に入ると4畳くらいの畳が敷かれていた。入口を入って左方向の壁にガラスがあり、部屋の中央には座卓があった。

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