第13話 竜族の娘達(1)

私「リコ、対ドラゴン戦になるんだが、もし可能なら話し合いで解決出来る事も念頭に入れよう。」

リコ「サーイエッサー。」


私「これよりオペレーションに入る。対象の飛行体に認識コードを指定。

大きい赤いドラゴンを『レッド』。対して小さく青いドラゴンを『ブルー』とする。」

リコ「コード指定完了しました。」


私「『レッド』と『ブルー』にパラメトリックスピーカーポイントをロック。」

リコ「ポイントロックしました。」


SYSTEM

「現地言語能力により【竜言】を習得しました。」


私『そこのドラゴンに告げる。直ちに交戦を中止し着陸せよ。』

『繰り返す。こちらに戦闘の意思は無い。直ちに交戦を中止し着陸せよ。』


???「⁉︎」

???「⁉︎」


ドラゴン達が戦闘を止めてこちらに視線を向けた。


私「伝わったかな?」

リコ「伝わった様ですが、挑発と認識した模様。」

「警告!『レッド』にマナ反応、熱源感知。射線上に入りました。」


私「回避機動!」

リコ「イエッサー!」


右側の岩を蹴り、90度近く方向転換しながらブレスをかわしていく。

「フォォォォー‼︎‼︎」

先程まで岩だった所が熱した鉄の様に真っ赤に変わり果てていた。


今の私だったらサイラスの防衛スキルである「デュラムスキン」を使えばあれくらいの攻撃は軽く跳ね除けるはずだった。

しかしあのような範囲攻撃にリコが巻き込まれると無事では済まない。


向こうの攻撃の意思は確認した。

リコをドラゴンの攻撃範囲から離す必要がある。


私「リコ、ドラゴンのブレスの範囲から離脱せよ。エリアサポートは継続。」

リコ「サーイエッサー!離脱します。」


私は背中に装備していた全長2メートル近くにあるロングソード「ギャランティーン」を抜き取り、中段の構えで戦闘体制を取る。


私『警告はした。これより迎撃行動に移る。』


それを見たドラゴンは空中で傲慢な態度を取りながら言葉を放つ。

レッド『よくも人間風情が‼︎ 死になさいぃ‼︎』


リコ「警告、ブレス来ます。」



目の前の全てに赤い炎が襲い掛かる。その瞬間、地面で私は右足と共に上半身の中心を前に大きく移動しながら剣身の向きを縦から横に変え、右側上段から左側に向けて大きく振り下ろした。

「波ァァー‼︎」


剣から強力な衝撃波が生まれ、凄まじい音を出しながらレッドから放たれたブレスを食い破っていた。

いや、あれはブレスそのものを消え去ってしまったと言うべきだった。


レッド『な!何を⁉︎』



レッドは今の状況が理解できない様で混乱していた。

私はすぐさまレッドの頭付近まてジャンプ。

空中で縦方向に2回転しながらギャランティーンの剣身を横にしたまま、レッドの頭を叩きつけた。

「ガァーン‼︎」


衝撃を受けたレッドは地上に墜落。

大きな音と共に土煙が起こる。


「ドォォォォーン‼︎」


それを追う様に私も着地。

レッドは気絶した様だ。


改めて試した訳だが、思った以上にサイラスの反応速度と運動性が上昇してる。


サイラスは宇宙の古代知性体により作られた生体強化装甲だ。

初めてアクセスした生命体と共鳴し、その生命体の生体データを読み取り最適な形と性能を発揮する様になっている。


原因としては私がこの世界に来てから得られた身体と創造神の加護によるものではないかと推測してる。


それはさておき。

気絶したレッドを横目に上空のブルーに話しかける。


私『逃げないのか?』

ブルー『…人間、お前は何者だ?何故【竜言】を喋れる?お前は本当に人間なのか?』


私『それが知りたいのか?ブルー、いや「ブァルマイヤ」。』


本名を呼ばれた彼女の声が震えていく。

ブァルマイヤ『な、何故私の慎の名を知っている!』



何かを感じたのか、ブァルマイヤが急に旋回しここを離れようとしている。



私はそのブァルマイヤに手を向けながらマナを集中させ呪文を唱えた。


『落ちろ』


瞬間、ブァルマイヤは見えない強力な力に囚われたかの様に体の自由を奪われ墜落していく。


私が生み出した【言霊魔法】だ。

ドラゴンに通じるかは未知数だったが、これではっきりした。

では他の呪文も試すとしょう。



私は未だに気絶しているレッドの頭に手を乗せ、呪文を唱えた。



『ポリモーフ・アザー』


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