一緒に寝よう?

 すっかり夜も更けた。

 ベッドへ横になると眠気が襲ってきた。ついでに、璃香が俺を襲ってきた。


「ちょっ、璃香……!」

「いいじゃん。そろそろ気持ちいこと……しよ?」


 仰向けに寝ている俺に対し、璃香は上から覆いかぶさるように腕立て。ほぼ襲われていた。てか、胸の谷間が目の前に……。


「だ、だめだ、璃香。そういうのは大人になってからだ」

「ふぅん、賢ってあたしを魅力に思ってくれてないわけ?」

「そうじゃない。璃香は超がつくほど魅力的だ」

「ならいいじゃん」


 よくねー!!

 そもそも、恋人関係なのかも曖昧だけどな。いや、その方が俺としても嬉しいよ? いっそ、付き合うのもありか。


「せめて抱き合うだけにしてくれ。まだ心の準備が出来ていないんだ」

「そかぁ、残念。じゃあ、一緒寝よっか」


 璃香が完全に密着してくる。

 あらゆる感触が俺の全身を包み、興奮してしまった。……まずい、これは大事な部分がテントになっちまう!!


「り、璃香……」

「こうして密着するだけでも気持ちいね」

「あ、ああ……悪くないな。璃香は軽いし、華奢だし……抱き枕に最適だな」

「うんうん。優しく抱きしめてね」

「お、おう」



 ――結局、俺は一睡もできず……寝不足になったである。



 ◆



 翌日。

 朝七時半になり、俺は完全な寝不足状態で朝を迎えた。日が昇った瞬間、璃香の体温ぬくもりで急に睡魔に襲われた。今になって眠くなってきた。……くそう。


 幸い、璃香はまだ目を閉じて眠っている。可愛い顔して寝やがって……けど、この天使の寝顔を知るのは俺だけなんだよなあ。これを見れるだけでも寝不足になる価値がある。


 なんとか一時間程度の仮眠を取れた。だが、圧倒的な寝不足。今日は耐えるしかないな。


「おはよう、賢……って、あれ」


 ようやく目覚めた璃香は、この状況に顔を真っ赤にする。


「どうした、ずっとこの状態だったじゃないか。おかげで寝不足だぞ、俺は」

「あ、ああ~…そうだった。熟睡してたから、記憶が曖昧だったわ。ごめんね、賢」

「いいよ。その代わり、もうちょい“ぎゅっ”とさせろ」


 璃香を抱き寄せ、抱き枕にした。

 少し抵抗されたが、もう遅い。

 俺はがっちりホールドし、璃香を感じた。


「……す、賢。苦しいってば」

「やられてばかりも悔しいからな」

「まあ、あたしにとっては天国でしかないけどねっ」


 ようやく起き上がり、日曜日の朝が始まった――。



 ◆



 会議室へ向かい、璃香と共に菜枝と栖胡を待った。しばらくして、菜枝が元気よく現れた。


「やっほー、賢さん。璃香さん!」

「朝っぱらから元気だな。てか、挨拶は“おはようございます”だろう」

「いいじゃん。今日は日曜日だし」

「そうかもしれんが、ここは会社だから。細かいかもしれんけど理解してくれ」

「はぁ~い」


 本当に分かっているんだかな。

 まあいい、あんまり堅苦しいのも俺の主義に反する。会社とは、アットホームでなければな。とはいえ――実際、アットホームな職場なんて少ないけどな!


 これであとは栖胡だが……お。エレベーターが動いているな。どうやら、出勤してくれたようだ。


 最上階までエレベーターがやって来て、栖胡の姿見えた。ん……あれ、なんだか様子がおかしいような。



「お待たせしました、皆さん!」

「おはよう、栖胡――って、なんだそりゃァ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る