ギャルのえっちなフェロモン
本日の業務終了。
――と、言ってもオンラインゲームで遊んだようなものだ。とはいえ、和泉と菜枝にゲームを理解して貰えたし、楽しんでもくれた。
「も、もう夕方ですね……。そんなに時間が経っていたんだ」
和泉はすっかりゲームにハマっていたようで、時間を忘れてプレイしていた。後半は、俺と和泉のペア狩りでダンジョンを駆け巡り、あれから『Lv.64』とかなり奮闘した。レア装備も与えていたし、サクサクだったな。
「ダンジョンを巡るのは楽しいだろう?」
「そうですね、東雲くんのキャラが強かったので強いモンスターを一撃で倒してくれるし、レアアイテムもあんなにたくさん。あれってどうするんですか?」
「商人キャラがいるから、そいつでアイテムの売買をするんだ。メインの街があって、そこで露店をする。するとお金を稼げるわけさ~。これがMMORPGの
「いいですね、お金儲け。お金沢山稼いで、レアアイテムを買って……もっといろんなダンジョンへ行ってみたいなぁ」
もうゲームで頭がいっぱいになっているな。良い傾向だ。
「まあ、また暇があったら一緒にやろう。でも、開発がメインだから、そこをお忘れなく!」
「あ! そ、そうでした……あはは……」
笑って誤魔化してるし。
確かに今の時代は、アプリでかなり押されて下火ではある。でも、そのアプリを使えばいい話さ。今や、PC版とスマホ版で連携しているゲームも数多い。
「和泉、今日は会社に泊まれるのか?」
「あー…ごめんなさい。まだ事件の影響で帰らないとなんです。しばらくは無理かもです」
「そうか。無理にとは言わないよ。また明日も来てくれ」
「はい、このゲームをやり込んで……ぜひ、自分でも開発したいと思います」
良い顔だ。意欲も十分だし、これは和泉に期待できそうだな。ただ、彼女だけに負担を掛けていられない。今後、外注やら考えねば。
あらゆる選択肢を視野に入れ、確実なものにしていこう。
◆
和泉を玄関まで見送った。
「今日はありがとな、和泉」
「いえ、わたしの方こそ充実した日を送れて感謝していますよ。東雲くん……いえ、社長。これからよろしくお願いしますね」
ニコッと微笑む和泉の笑顔に、俺は胸がキュンとした。さすが元アイドル……か、可愛い。
「じゃ、じゃあな」
「……あ、そうだ。社長」
「ん?」
「わたしのこと、呼び捨てでいいですよ」
「……え」
「
ちょっと膨れながら、和泉は言った。
うわぁ、
そうだなぁ、もう璃香の事は散々呼び捨てにしているし、これから俺が社長であり、和泉が部下なのだ。ならば、社長としての威厳を示していかないとな。……と、言っても俺はそんな上下関係をそれほど重視するタイプでもないんだが、体裁は必要だ。
「ほ、本当に良いんだな」
「はい、名前で呼んでくれないと辞表を提出します」
「それは困るな。分かった……栖胡、これからよろしく」
俺は照れながらも握手を求めた。
栖胡も顔を真っ赤にして、震える手を伸ばした。お互い、なんかガチガチになってしまった。
「わ、わたしも……賢さんって呼ぶので」
「お、おう。社長でも名前呼びでも好きなのでいいよ」
「ありがとう、賢さん」
握手を交わした。
なんだろう、今、不思議な気持ちに包まれている。湧き上がる謎の高揚感、この正体はいったいなんだろうな。
――会社へ戻り、最上階から降りてくるエレベーターを待った。扉が開くと、そこには璃香の姿があった。
「タイミング良いな、璃香。お出掛けか?」
「……賢のばか」
「え?」
寂しそうな表情で俺の腰に抱きつく璃香。突然の密着に、俺は動揺するしかなかった。急にどうしちゃったんだ。
「栖胡ちゃんばっかり構い過ぎ~! あたしの事も忘れないでよぉ」
「あ、あぁ! すまん、ゲームに集中しすぎたな」
「もー! ストレスマッハ! ストレス発散に、カラオケ行こうよ」
唐突な提案だなぁ。
なんとなく決めた就業時間はとっくに過ぎているし、今は十七時。アークの定時(仮)としていた。もちろん、残業なんてもっての他。やらせません、させません! 時間外労働、サービス残業反対!
「分かったよ、璃香」
「ほんとー! だから賢が好きなのよねっ♡ 菜枝ちゃんも連れていこうよ」
「オーケー。じゃあ、ライン電話で呼ぶよ」
「うんっ」
すっかり機嫌を取り戻した璃香は、頭を俺の胸部にそっと押し当ててきた。きめ細かな金の髪がサラサラで、
エ、エクスタシー…。
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