みんなでオンラインゲーム体験

 オンラインゲームのプレイは、順調に進んだ。俺は昔のアカウントを使って魔法使いウィザードで無双。璃香も同じく女性キャラクターがいたようで、鍛冶屋ブラックスミスだった。高級装備を全身につけており、高レベル。やり込んでいるなぁ。



「賢の魔法使いもスゴイね。スキルが大魔法ばかりじゃん」

「まあな。俺は中学生の頃に三年間やり込んでいたからな」

「へー。あたしより二年も長いんだ。廃人だね~」


 カラカラと笑う璃香。てか、一年しかやってないのかよ。それでこの装備は凄いな……。ああ、でも納得。璃香のキャラクターは女性。ギルドにも所属していたようだから、男のメンバーから貢がれていたんだろうと推測できる。



「璃香の方こそ、仲の良いギルメンいたのか」

「まあね。もうログインもしてないし、所在も不明だけどギルドだけは残ってる」



 放置ギルドか。一度過疎るとギルドメンバーのログインが無くなり、そのままフェードアウトなんてよくある話。俺もよく経験した。



「相方でもいたのか」

「なに、賢ってばヤキモチ?」

「ち、ちが……」


 ニヤニヤ笑う璃香。

 くそう、聞くんじゃなかった。


「昔の話だし、オフ会とかもやった事ないし~、なんかレア装備はよく貰っていたけどね。それだけの関係。相手のリアルとか興味なかったし」


「そ、そか。良かった」

「良かった?」


「……ぐっ」


 璃香めぇ、俺の1/3の純情を弄ぶんじゃありませんッ!



「あぁん、もうまた死んじゃったよぉ……!」



 またゴブリンに襲われ、南無なむった菜枝。いくらなんでも下手するぎる! 装備とかくれてやったのに、それで負けるとはな。ゲームセンス絶望的か……?


 一方、和泉はメキメキと腕を上げていた。初心冒険者から、ついに剣士へ転職を果たした。Lv.32となり、中堅モンスターも狩りまくっていた。



「おぉ、よく頑張ったな。つっても、俺が壁してあげたんだけど」

「ありがとうございます。なんかモンスターを楽々倒せてどんどん強くなっちゃいました。賢さんのキャラってお強いんですね」


 すっかりMMORPGにハマったのか、目をキラキラさせる和泉。おぉ、虜になっているなあ。多分こういう複数人でやるゲームが初めてのようだ。

 意欲も非常に高く、MMORPGの魅力をよく理解してくれていた。素晴らしい、これなら、和泉と理想のゲームを作り上げられるかもしれない。



「俺はゲームが好きだったからね。和泉は、コンシューマーゲームもやらんのか?」

「コンシューマーゲーム?」

「家庭用ゲーム機のこと。ほら、ポイッチとかPS55とか」


「ごめんなさい。スマホのゲームくらいしかやらないです」

「今時だな。ちなみに、なんのアプリを?」


「にゃんこ最終戦争です……」



 あー、あれね。

 可愛らしい猫が大乱闘するヤツ。

 今、中学生とかの間では爆発的な人気があった。



「なるほどね。だが、これから我が社で働く以上は、MMORPGを理解してもらうぞ」

「ええ、とても興味深いですし、面白いです。こんな風にみんなと一緒にゲームを遊べるだなんて……夢にも思わなかったです。楽しいですね」



 にこっと自然に笑う和泉。

 その笑顔の矢が俺の心臓に刺さろうとしたが、璃香が素手でキャッチ。俺の目の前でへし折った。もちろん、そんな光景が現実であるわけでなく、あくまで俺の脳内変換で。



「賢、栖胡ちゃんのレベリングを急ぐんでしょ」

「あ、ああ……璃香、なんか怖いぞ。てか、菜枝の方も手伝ってやれよ。和泉は、俺が支援するから」

「むぅ。分かった。じゃあ、二手に別れましょう」

「あいよ。んじゃ、もう少しだけ遊ぶか」



 推奨レベル【30】のゴーレムダンジョンへ向かい、俺は和泉のレベリングを手伝った。思えば、俺は現実リアルでもゲームでも永遠の孤独ソロだった。


 それが今はどうだ。


 美少女たちに囲まれ、ワイワイ楽しくゲームをしている。……なんて幸せ者なんだ俺。よーし、とことん遊びまくるぞ。

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