全員集合!! ゲーム開始
MMORPG『
「――はぁ、なんか凄かった」
「いやお前、初心冒険者でレベリングして、途中遭遇したゴブリンに襲われてデスペナ食らって終わったじゃん」
「うぅ……だって難しいんだもん。スキルとかイマイチ分かんないし」
ぶぅ~と膨れる菜枝。
コイツはもしかしてゲームがヘタクソなのかもしれない。やれやれと頭を抱えていると、ラインが入った。和泉からだ。
『到着しましたー』
「おぉ、到着したか」
菜枝に一階へ行き、迎えるよう指示を出した。「えー、なんで私ー!」と抗議をしてきたが、当然である。この会社に住まわせる以上、少しは働いて貰わないと。でも、和泉が来たと分かるや、菜枝は元気よく走り出す。単純なヤツだなぁ~。
「楽しい子だね、菜枝ちゃん」
「昔は氷属性って感じで、お高くとまっていたけどな」
「そうなの? なんか信じられないね」
「俺も何があったか分からんよ」
俺と疎遠になってから、多分、家庭の方で何かあったのかも。なんか聞き辛いから、聞かないけど。
「そっか。ところで賢」
「ん?」
「今、二人きりだね」
「あ、ああ……」
璃香は、いきなりキスを迫ってきた。顔が直ぐそこに……!
「回避ッ!」
「あ~ん、どうして回避するの!」
「気持ちは嬉しいけど、和泉に見られたら気まずいだろう。ほら、来た」
危なかった。あと少し回避が遅ければキス状態。そんな現場を和泉に目撃されるところだった。そんな事態になったら、一日で退社してしまう!
「おはようございます、東雲くん、宮藤さん」
会議室に入ってくる和泉。
なぜが学校の制服で出勤してきた。
私服かと思ったら、そっちかよ。
とりあえず、俺は「おはよう、和泉」と挨拶。一方の璃香も秘書モードで「おはようございます、栖胡ちゃん」と和やかに挨拶を交わした。
「よくぞ来てくれた。和泉、さっそく席に着いてくれ。そこのノートパソコンがあるところで構わない」
「は、はいっ」
さっき菜枝がゲームをしていた席へ座らせた。
「五分前まで、MMORPGのなんたるかをそこのゲーム初心者の菜枝に説いていたところだ。しかし、コイツはゲーム下手すぎてダメだ。やはり、開発してもらう和泉にプレイして貰う方がいいと思った」
「ゲ、ゲームをですか。わたしもそんなに得意ではないのですが……」
「大丈夫。俺が丁寧に教えてあげるから」
「それなら大丈夫かもです」
胸をなでおろす和泉。どうやら、彼女もゲーム初心者だったらしい。璃香が特殊なんだな。ギャルだし。なんて思っていると、璃香が提案をした。
「じゃあ、人数分のパソコンを用意するわね。みんなでプレイしてみましょ」
「マジか。ノーパソもそんな台数あるのか?」
「ええ、ちょっと待ってて」
席を立ち、さっきと同じようにノートパソコンを調達してくる璃香。いったい、何台この会社にはあるんだ!
今度は人数分が設置された。
こりゃあ、すげえや。
ゲーミング用の高性能のノートパソコンが四台分。会議室で並んでゲームをプレイするとか、なんだこの異様な風景。いや――そうでもないか。これが会社としては正しい姿だ。
「璃香、ナイス! これなら、皆と遊べるし……よーし、久しぶりに俺の最強アカウントも使うか! 言っておくが、俺はかなりやり込んでいたんだぞ」
「へぇ、あたしもよ。じゃあ、菜枝ちゃんと栖胡ちゃんのレベリングして、どこかパーティへ行きましょうか」
「名案だな。ならば、ゲームのインストールから始めるぞー!」
「「「おおー!!!」」」
全員で『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます