第4話 調書作成

警察署に調書作成の為同行した。

万引き犯を私人逮捕した場合、善意の協力者となり、警察が犯罪者を送検する為に調書を作成するのだが、ここまで協力して初めて送検出来るのだ。


大抵の場合は書類送検止まりだが、万引きでも立件される場合がいくつかある。


1・1度捕まってから6ヶ月以内に再度捕まった場合

2・悪質な万引きだった場合(主に高額)

3・その他


3については後日話したいと思うので今は伏せておく。


今回捕まえた老婆だが、やはり少額の為に厳重注意で親族に引き渡して終わりだと思ったのだが、何と3ヶ月前にも捕まっていたようだ。

その時は厳重注意だったので調書作成もなかったらしいが、流石に悪質と判断して、今回は書類送検するそうだ。


実はこの話を警察署に同行する前に聞いていた。

なぜかというと、調書に写真を添付する為、店内で写真撮影をするのだ。会話をする時間は充分にある。


まず犯人が商品を手にした場所、隠匿した場所、声をかけた場所、その犯行を見ていた場所の4箇所だ。


俺が直立して立ち、上記の箇所を右手の人差し指で指差す。そこを刑事が写真撮影して行くのだ。

そして一通り撮影が終わるとパトカーの後部座席に座らされる。


側から見れば俺が犯罪者に見えるだろう。だから俺はこの撮影と同行が嫌いだ。

さらに警察署に行けば同じことを延々と聞かれる。

さらには自分の氏名、年齢、住所、電話番号、家族、なぜ居たのか、見ていた時間なども伝える。


もう自分が犯罪者になった気分だ。カツ丼出されたら僕がやりましたと言ってしまいたくなる。(※今は取り調べ中カツ丼出ません。ドラマだけです)


大体4時間程警察署に監禁されるのだ。

今は短くなって2時間位で済むらしい。万引きの送検が簡略化されたそうだ。

警察はGメンを嫌う傾向にある。万引きなんて小さい犯罪に構っていたくないのだ。彼らも点数稼ぎに必死なのだ。だがそんなの俺には関係ない。捕まえたら引き渡す。


ここで1つ言っておく。

万引き見つけても自分で捕まえちゃいけない。

見つけたら店員に伝えてあげるだけで十分だ。


なんでかって? 本当に処理が面倒くさい。

余程の物好きで、知識が十分あるなら是非やってみてください。


4時間後ようやく解放された。

警察署から薬局まで歩いたら30分の距離。

帰りはパトカーで送ってくれると思いきや・・・そんな事は無いのである。


30分後ようやく店に着いた。

店長に戻ったことを伝えて再び外に出て【監視】を発動する。


そして【監視】を発動して5分後。

再び挙動不審者を視界に捉えた。

化粧品コーナーに金髪の女性。髪の根元が黒くなっているプリン状態だ。服装はセーラー服。学生鞄のチャックが少し開いている。


いわゆるギャルだ。人は見かけで判断してはならない。それは正しい。だがGメン中においては見かけで判断することが多い。


そのまま【監視】を発動し続ける。

だが相手が女子高生だと危険が付きまとうのだ。

こちらがストーカーに間違われる可能性もある。


慎重に動向を【監視】していると、ブリーチに手をかけた。

どの商品までかはわからないのだがコーナーである程度予測は出来るのだ。


女子高生は一瞬周囲を確認すると肩にかけた学生鞄の中に入れた。学生鞄は肩にかけると入口が胸の高さにくるので素早い動きで中に入れることができる。だが、この女子高生の動きには若干の雑さが見てとれた。


まだまだレベルが低い感じが、スキルを使わずともわかる。

そそくさと店を出たところで声をかけた。


女子高生の顔はみるみる青ざめた。

やはり捕まるのも初めてだろう。

震えた声で謝ってきた。


「ごめんなさい…あのお金払うんで…」


95%の万引き犯は「お金を払う」と言う。

そもそも払うなら最初っから払っていけや!! といつも俺は思ってしまう。


「あの、お願いします。学校には言わないでください」


この言葉を聞いて俺はすぐに【警察】召喚をする事に決めた。

結局謝ってるフリで己の保身しか考えていないのだ。


はっきり言う。


「学校に言うかどうかは店の人と警察が決めることだから。俺には決定権はないよ。諦めて」


項垂れた女子高生は意気消沈して事務所までついてきた。

すぐさま警察を呼び連行してもらったのだった...

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万引きは犯罪ですっ!〜スキルを持つ俺の万引きGメン奮闘記〜 八隣 碌 @kuronosu99

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