本日の絶好調ゲボは最長飛距離を更新したのでコイツは鳥ゲボコンテストに出るべきだ。

@natsumi_tazan

本気ゲボは落下ではなく発射

人生で2度、200%の全力を尽くした嘔吐を経験したことがある。


1度目は3年前。栄えある2度目は昨日だ。


3年前のゲボの発射される様子は瞼を閉じれば眼前にありありと思い浮かび、酸っぱい香りが脳を直撃する。昨日の嘔吐を掃除しきれてない可能性もあるが。


バーでウィスキーをドシドシと飲み、自分の足を含むあらゆる移動に耐えられな状態になった私は最低限の脳判断でバーのトイレに自らを放り込んだ。そのまま、いつでもゲロを生み出せるように膝に手をつき便器を覗き込んだ。深淵はいなかった。


想定外なのはここからだった。通常ならば胃と喉がしたから押し上げられるような感覚を持って嘔吐が実施されるのは皆様も変わらないだろう。だがその瞬間の嘔吐は胃が雑巾を絞るかのような収縮活動をし水鉄砲のようにゲボは一直線に洋式便器の背もたれ箇所に噴出されたのだ。巨大怪獣の光線と絵姿だ。


ゲボは便器に一切入らず背もたれから弾かれ床を終わりにしてしまった。私は素知らぬ顔をしてすぐさま店をさった。怒声が聞こえる。申し訳ない。


一度全力のゲボを経験してしまうと今までの嘔吐はダラダラと、身体の反射でくだらなく胃から内容物を押し出している漫然とした作業だったのだと気づかされる。おそらく人生で一度も全力ゲボを体感したことがないまま人生を終える阿呆どももそこら中に転がっているのだろう。


人間は手足は意図通りに動かせるが心臓や腸は動かせないという話を聞いたことはあるだろうか。胃もご多分にもれず人間の脳みそからの命令じゃ思い通りには動いてくれやしない。神の怒りと同じ。いつ来るかはわからない。


それが昨日きた。一人で晩酌調子にのってブラックニッカを一人で一瓶胃に注ぎ込むべきではなかった。3年前の記憶を踏まえ私は自宅の便器に深く顔を突っ込んだ。その姿はまるで洋式便器に謝罪しているかのようだ。


胃が象にでも踏みつぶされたかのような急速な収束を持って嘔吐が行われた。3年前と同じ。だったらイケるぜ。ゲボは全弾便器内に命中。ブルシット。素晴らしい理性の判断だ。


自己判断に酔っていると再度、胃が素早く縮みこみあがり2発目が発射される。


嘔吐が赤ワイン色に染まっていた。吐血である。


急速な胃収縮を持って発射されたゲボは、そのスピードを持って私の喉肉を切り刻み血を流させたのだ。


症状名:マロリーワイス症候群。


惨事の結果にしては洒落た名前がついただけ感謝しよう。昨日までは便器へどれだけ頭を垂れるかを気にしてきたが、明日からはそれだけじゃすまないようだ。


全力の嘔吐、次は明日か3年後か。



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