第8話 低気圧なんたらかんたらのせいで大雨後編

 自称錬金術師の上山が自分の部屋に帰ってから数時間後。


 停電した。ラジオの情報ではどこかの変電所に雷が落ちたんだとか。


 復旧の目処はたってないらしい。


 というわけで俺はベッドに潜るろうとするが、それをスラさんが邪魔する。


「ぽよぽよ! ぽよよん! ぽよよ! 」


「ん? 上山の部屋に行ってこい? なんでまた」


「ぽよよん! ぽよっ! 」


「きっと怖がってるから? はぁ、スラさんが言うなら行ってくるよ」


 〜自称錬金術師、上山の部屋〜


 俺はドアをノックすると可愛い犬のぬいぐるみを両手で大事そうに持った涙目の上山が出てきた。


「か、管理人さん……」


「怖いんだろ? ならこいよ」


「……いいんですか? 」


「いいぞ。とゆうか、最初から怖いって言えよ」


「気づいてよ。バカ」


「人は言わなきゃわからない生物だぞ? 」


 俺がそう言うとポカポカと俺の胸元を殴る。


 ※※※※※※


「私、どこでも寝れるので床でもいいですよ? 」


 今、停電中の管理人室でキャンプグッズの懐中電灯(LEDランタン)をつけて誰がどこで寝るかを話し合っていた。


「お前がベッドに寝ろ。俺はこの前買ったキャンプグッズの寝袋の性能を試したいから寝袋で寝る」


「ならもう一緒に寝ませんか? もう私眠いです……。ふわぁ〜」


「お前がいいならいいけど。起きて「エッチ! このどすけべ! 」って言って頬をビンタするなよ? 」


「やりませんよ。なんですかそのバカ女は」


 言質を取ったので一緒にベッドイン。


 寝言はうるさいわ、寝相が悪いわで一睡もできなかった。


 今度寿司に連れて行ってやるか。回らないやつ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る