第2話 スライムの親は俺らしい

「管理人さん! 見てください! できました!! 」


 晴れていたので敷地内の草むしりをしていると紫外線を防止するためか帽子を被った自称錬金術師の上山友莉が腕で大事そうに濃い水色の球体を抱えてやって来た。


「なんだそれ? 」


「ふっふっふっ! 聞いて驚いてください! これは自立型スライムです!! 」


「なに地球外生命体作ってんの?! 」


「いやぁ、オタクからの依頼で推しキャラの裸のフィギュア(自立型)を作っていたらたまたま偶然出来てしまいました!私は今日から《スライムの始祖》と呼ばれる存在になりました!! 」


 今、聞いちゃいけないことが聞こえた気がするのでそれはスルーして。


「うちにはキツネがいるからペット枠は要らないぞ? 」


「この子はなんと! 草を食べるんですよ!! 管理人さんの仕事が減りますね♪ とゆうわけでペットに申請します!! 」


「実験してみるぞ。スラさん、この草食べれるかい? 」


「ぽよ!! ぽよよん! 」


「オッケー。了解」


 可愛いなこいつ。食べ終わったら頭撫でてって。


 癒し枠かな? キツネも癒し枠に入ってるし……。


 もう地球外生命体枠でいいや!


「ちょっと! なんて言ったんですか?! 私、わかりませんでしたよ!? 」


「スライムの始祖なのにわからないのか」


「ええ! わかりませんよ!! 教えてください!! 」


「しょうがないな。『草を食べ終わったら頭なでなでして』ってさ」


 上山は悔しそうな顔をする。


 なんでわかるんだろう? 俺だけ。


 なにかやったっけか? 


 そんなことを思っているといつの間にか足元にスラさんが。


「ぽよよん!! 」


 あー、はいはい。撫でますよ。忘れてないっすよ。


 ひんやりしてて尚且つスベスベしてて気持ちいい。


「ぽよぉ〜」


 気持ちいいらしい。


「なあ、スラさん。なんで俺だけ言語がわかるんだ? 」


「ぽよよん! ぽよぽよ! 」


「そうなんだ。納得。ありがとう」


「ぽよ! 」


 まさか俺が名づけ親だからだなんて。というよりはスラさんでいいのかよ。


「あのう、なんでかわかりましたか? 」


「俺が名づけ親だかららしい」


「……そうですか。そうですか!! キツネの時だって管理人さんが名前つけちゃうからついて来たんですもんね! この動物タラシ! 」


 上山はそう言うと自分のアパートの部屋に戻っていった。


「スラさん、俺の家にくるかい? 」


「ぽよ! 」


 スラさんは嬉しそうにプルプルした。

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