Play3☀「適正熟練度30」

☀『それでどうしよっかー』


 ≪同盟≫に加入したことで、≪お昼はnoon≫——山羊追いの画面左上部に≪ぬるいお昼の黒桜≫と記載が増え、それに続いて3名のメンバーの名前と簡易的な状態が表示される。


☘『ストーリー進める?』

✿『そう言えば、同盟組んだらストーリーモードも一緒に出来るんだっけ』

♨『そうそう。けどオレとしては、その前に島の中を探索しておきたいぜ!』

☀『あー、ぬるめ出遅れたもんなー』


 ≪同盟≫欄のメンバーの並びは熟練度順になっていて、一番上が熟練度5の≪Clover♧≫、その次が熟練度2の≪サクラ≫そして熟練度1の≪ぬるめ≫だ。

 山羊追いの熟練度は3。≪同盟・ぬるいお昼の黒桜≫内では二番手だ。


☘『それじゃ遺跡行ってみよ。あたしもまだ行ってない』

✿『え、あそこって……』

♨『よっしゃ決まりだな! 行こうぜ行こうぜ!』

☀『一応同盟作ったのぬるめだし、ぬるめがリーダーって事で先頭ねー』

♨『がはは! 任せろぅ!』


          ♨✿☀☘


♨『どぅぉおおおおいっ!?』


 退廃的な風景。タイニーたちによって建てられたとは思えない巨大な廃墟が立ち並んでいる。

 実際にここら一帯は小人たちの生活圏外であり、彼らがこの島に住み着くよりも前に築かれた≪遺跡≫だ。

 ≪島≫西部に広がるその荒廃した地へとやって来た≪同盟・ぬるいお昼の黒桜≫の面々だったが、現在名目上首領である羊飼いが、率先して巨大な狼に追いかけまわされていた。


♨『ちょっ!? 何コイツ!? デカすぎじゃねっ!?』

☀『頑張れ! あと少しだ!』

♨『ずっとそれ言ってるけど、お前ら何やってます!?』


 従者に跨る事で、数ある≪肩書き≫持ちのタイニーの中でもトップスピードで走る羊飼いを横目に、山羊追いは草むらの中でしゃがんでいた。

 そして頭上に、≪コガネムシ・凡を採取しました≫とメッセージが表示される。


☀『やっぱここら辺だとレア度もちょっと高めだねー』

☘『遺跡の中、鉄系の素材もあった』

✿『なんかバカでっかい武器あるんだけどー』

♨『さてはお前ら、俺を囮に採取してるな!?』


 のほほんと採取場を報告し合っていると、突然羊飼いの進行方向がこちらへと向いた。

 目を見張る速度で迫ってくる仲間と敵に、山羊追い達は即座にその場を後にする。


☀『ヤバい見つかった!』

☘『てっしゅー』

✿『結構収穫あったねー』

♨『逃がすかテメェラァアアアアアアッ‼』


 全力疾走で迫ってくる羊飼い。だが、突如としてその動きが止まる。


♨『アア!? 効果切れた!?』


 騎乗していた羊から投げ出され、その場で転倒する羊飼い。羊の方も疲れた様子で息を整えていて、飼い主を助けに行くことが出来ない。

 そして、のそりと立ち上がる小人を影が覆う。


「グルルルルっ!」


♨『食べられるーっ!?』

☀『危ないぬるめ!』

☘『早く逃げてっ』

✿『死なないでー』

♨『言うなら助けて!?』


 山羊追い達は既に安全圏まで避難して、遠くの仲間の危機を優雅に眺めていた。鳥撃ちはその場に座り込んでいる。

 ついに羊飼いを巨大狼が喰らおうとしたその時、疲労から回復した羊がバッと顔を上げる。


♨『羊ぃ! 助けてくれぇ!』


 羊は主人の状況をAI機能でとっさに判断し、そして草を食み始めた。


「草うま」


 どうやっても助からないのは見るに明らかだったので待機モーションに移行。

 直度、羊飼いはバクリと狼の大顎に呑み込まれてしまった。


♨『ひぃつじぃーッ!?』


 ——≪ぬるめ≫が戦闘不能になりました。


 画面左側に並ぶ≪状況チャット≫で仲間の死が簡素に告げられたのだった。





——TIPS——

【画面】

 プレイ時の画面は以下の通り(ストーリー中の会話イベント等では表示されない)。


・上中央‐名前 熟練度 肩書きアイコン

     体力バー(緑色)

     集中力バー(青色) 状態異常アイコン

     羊体力バー(羊飼いのみ、緑色で細い)

・下中央‐アイテム

・左上‐同盟行動中(同盟行動時のみ)

    同盟相手の体力、集中力(同盟行動時のみ)

    状況チャット

・右上‐マップ(表示切替あり)

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