第2話 私たちの普通の日々
夜中に通話したあの一回から、
私たちの日々が変わるわけもない。
ただ、私の失恋話は
私とあの人だけの"秘密の"話になった。
仲良くなったきっかけであることは、
2人の共通認識であった。
課題に追われて、
サークル員として活動して、
同期たちと通話して、
普通の日々だった。
ある出来事がそれを変える。
「もっと話してみたい、仲良くなりたい」
Twitter上で呟かれた私へのリプライだった。
もちろん他のサークル員はこのリプライを見れない。
いわゆる鍵垢。
あの日、何を思ったかひっそりと鍵垢への招待を受けた私は、
あの人とさらに仲良くなるきっかけを得ていた。
「いいよ!通話しよう、何時からが都合いい?」
「22時くらいかな、」
「個人通話でもいい?」
時期は秋。
初めての個人通話。
(前回は夜中過ぎて、他のメンバーが通話に入ってこなかっただけ)
別に何を話していたかなんて覚えていない。
ただ、ずっと話していた。
この通話から、
私たちは2週間に一度のペースで個人通話をすることになる。
ただずっと話すだけ。
誰にも言わない内緒の個人通話が、
ひっそりと私の中の特別感を育てたのは間違いなかった。
ここで話す内容は、私とあの人しか聞けない。
頭の中の冷静な私が、問う。
「友達と個人通話することって普通なのかな?
しかも定期的に。
もしかしてすごく仲が良いとか思ってる?」
自惚れ始める。
周りの同期よりは仲の良い存在として、いれている。
私の存在意義は確かにそこにある。
必要として欲しい、もっと。
満足の容量が増えていく。
もっと。
もっと。
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