第4話 昔から知っているなんて羨ましい

そもそもデートというのは2人で行かない。

俺は考えながら盛大に溜息を吐きつつ。

重たい脚を動かす。

鉛の様に重い脚を、だ。

すると、かーちゃん、と声がした。


「今からショッピングセンター行かない?」


「それは.....まあ良いけど.....みーさんは?」


「私も賛成。.....優子さんは帰ってもらって良いです」


「は?それだったら貴方が帰って下さい」


そしてバトルがまた始まった。

俺は額に手を添えながらジト目をする俺。

そしてショッピングセンターにやって来た。

それから睨み合う.....2人を見る。

俺はその姿を見ながら額に手を添えた。


「困ったもんだな.....」


そんな感じで居ると電話が掛かってくる。

誰にかといえば、みーちゃんに、であった。

みーちゃんは?を浮かべて電話に出る。


俺達はその姿を見つめる。

するとその姿にみーさんが、ねえ、と聞いてきた。

俺はみーさんを見つめる。

みーさんは俺に困惑しながら俺を見ている。


「私って.....やっぱり魅力無い?」


「.....魅力って.....いや。そんな事無いよ?」


「.....でも優子さんは.....胸とか大きいよね。.....私は小さいし」


「いや。そんな事は関係無いんだけど.....!?何でいきなり.....」


「.....彗星の如く現れたから.....だから目移りするんじゃ無いかって.....」


「.....!」


成程な、と思いながら俺はみーさんを見る。

俺はその姿を見ながら、大丈夫だよ、と言う。

それから、俺は目移りとかの問題以前に.....先ず惚れてないから、と答えた。

でもそれはゴメン。まだ君にも惚れてないって事だけど.....、とも付け加える。


だけどその言葉にみーさんは、そ。そうなんだ。えへへ、と笑みを浮かべた。

ようやっと、であるが。

そしてみーさんは笑みを浮かべて鼻歌を鳴らした。


「ごめん。お待たせ。.....どうしたの?2人共に」


「.....誰からの電話だ?」


「.....お父さんだよ。.....まあ.....その。.....少しだけ厳しかったけど」


「.....そうか」


みーちゃんの家も複雑だしな。

思いながら.....みーちゃんを見る。

みーちゃんは苦笑しながらも、じゃあ行くよ、と俺の手を引く。

それからみーさんを睨む。


「.....帰って良いですよ。みのりさん?」


「.....それは貴方がね」


「お前ら.....喧嘩はするなって」


「「ふんだ!」」


駄目だこりゃ。

打ち解けるどころの騒ぎじゃないな。

思いながら歩いていると書店前を通り過ぎた時。

あれ?、と声がした。

俺はその声に?を浮かべて見る。


「懐かしい顔だね。.....君ってもしかして戸畑くん?」


「.....ああ.....ってお前懐かしいな。大前か?」


「うん。大前薫(おおまえかおる)だよ」


小学生かと思う童顔に小学生の様に身長も低い。

そしてポニテをしている黒髪。

書店のエプロンをしている。

俺は大前のその姿に、こんな場所で働いていたのか?、と聞いてみる。

すると大前は、うん。そだね、と笑顔を浮かべる。


「かーちゃん。誰?」


「.....俺の中学時代の同級生だ」


「そうなんだね」


「今は俺の高校を中退して働いているんだ。でも随分と久々だ。会うのは」


「そうなんだよね。.....ん?女子2人連れてモテモテ?」


「.....そうじゃ無いけどな。胃が痛い」


???、と考える様な仕草をする大前。

その大前に、今回はここで働いているんだな、と聞く。

すると大前は、心配掛けたね、と言ってくる。

まあ.....中学時代コイツによく助けられたからな、と考えながら俺は苦笑する。

それから大前を見た。


「.....えっと。確かみのりさんだよね。.....でも彼女は?」


「.....三島優子さんだ。.....俺の」


「許嫁です」


「.....え?.....許嫁って2人も居たの?」


「許嫁は2人居たが.....でも三島優子の方は.....」


「今の許嫁です」


嘘ばかり吐くなよ。

俺はみーちゃんの口を塞ぎながら、ハハハ、と苦笑する。

その感じに、まあ良いけど.....浮気してないよね?、とジト目になる大前。

俺はその姿に、いや。してないが、と苦笑い。


「.....全く。.....君は優柔不断だからね」


「.....ああ。.....世話になってるな」


「高校も一緒だったのにね。.....全部破綻したから」


「.....」


俺が.....コイツの退学を防げなかったからな。

思いながら顎に手を添える。

大前は、でも気にする事は無いからね、と大前は笑顔になる。

俺は、変わらずだな、と答えた。


「優子ちゃん。そしてみのりさん。.....彼は良い子だから」


「.....お前は俺の母親か何か?」


「.....はっはっは。そんな感じだよぉ」


言いながら、じゃあねぇ、と戻って行く大前。

俺はその姿を見ながらみーちゃんを見る。

みーちゃんは複雑な顔をしていた。

その。かーちゃん。私が居ない間に何かあったの?、と聞いてくる。

俺はみーさんと顔を.....見合わせる。


「.....色々な。.....彼女自体が.....いや。家庭の事情か」


「.....?」


「今はその。言えないけど.....色々あったの」


「.....そうなんだ」


だからまあ.....今は明るく行くべきだ。

昔の事なんか思い出しても仕方が無いしな。

思いながら俺はみーちゃんに向く。

そして、みーちゃん。今は明るく行こう、と言う。

みーちゃんは、う。うん、と目を丸くした。


「でもその。かーちゃんの事情を知っているんだね。大前さんって」


「.....ああ。昔からの馴染みだしな」


「羨ましいな。そういうの」


「.....羨ましいか?普通だろ」


いや。私は.....羨ましいと思う。

昔からの事を知っているなんて、と少しだけ悲しげな顔をするみーちゃん。

俺はその姿を見ながら、まあ今から作れば良いさ。思い出もな、と笑みを浮かべる。

辛気臭くなったけど.....うん。


「.....私もそう思う」


「.....みのりさん.....」


「だからまあお前とはこれから思い出を作るさ。.....大切な思い出を、な」


「.....うん。そうだね。かーちゃん」


言いながら笑みを浮かべるみーちゃん。

俺はそんな姿を見つつ。

何だか落ち着いたな、と思いながら。

大前に感謝しつつ歩き出した。

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