異世界鉄道 第32話IF 森林鉄道見学会(1)~そして発覚へ~
「まずはテーブルにどうぞ」
テーブルについたところでヒフミが席にお盆を置いていく。
お盆の上には、
〇 木の蓋がのせられた何処かで見たような陶製容器
〇 同じく陶製の、ポットと言うには安定感ある大きめの蓋付き容器
〇 スプーンとフォーク
というセットが置いてある。
21世紀初頭の日本を知っている人にはベタだと言われそうだ。
しかし調査結果によると、ローラ嬢の食の好みは鶏肉、キノコ、根菜類。
主食もパンやオートミールよりパエリア等の米系統が好きだとあった。
その結果がこれである。
つまり駅弁界の超有名処『おぎ●やの峠●釜めし』もどき。
これにあわせて容器の釜も作った。
釜の縁に『おぎ●や』の文字を入れるところまで。
この辺は僕しかわからないこだわりだけれども。
ヒフミが下車して扉を閉めたところで、僕は魔力感知で先行の搬送列車を確認。
まだ事務所前に停まっているようだ。
「先行する列車がまだ前で停まっていますので、それが動き次第こちらも動かします。それまで少しお待ち下さい」
この僕の台詞はカールにも聞こえている筈だ。
だから前の列車が動いたらこの自走客車も出してくれるだろう。
「ところでリチャード兄、これ朝ご飯だよね。もう食べていい」
はいはい。
「動いた後、外の景色を楽しみながら食べた方がいいとは思うけれどな」
「むう……」
まあでも、確かに停まったままだと手持ちぶさただよな。
そう思ったところで。
「先行列車が動き始めました。この列車も発車します」
カールのそんな台詞とともに列車が動き始める。
「もう食べていいよね」
はいはい。
「どうぞ」
「ところでひとつ、うかがっていいでしょうか?」
ローラ嬢がそんな事を言う。
「何でしょうか」
「お箸はないのでしょうか。あと、本物のおぎ●やの峠の釜飯は、確か釜の色がもう少し茶色かった気がします」
「あ、確かにそうですね。割り箸を出しましょう。釜は似せて作ったのですが、本物の益子焼とは釉薬の質が違ったようで、黒くなってしまいました」
そう言いながら自分で使うために作って持っている割り箸を出そうとして、僕は重大な事実に気づいてしまった。
まさか……
ここは確かめなければならないだろう。
僕は意を決して彼女に尋ねる。
「ローラさん、何故それを知っているんですか?」
「え、あれ、そういえば……はっ!」
(Special Thanks @999111様)
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