第10話 ねずみドラゴンとパワーセーブ
(前回のあらすじ:長老とサムライパンダの期待を背負って格闘大会に出場することになったねずみドラゴン。はたしてどんな相手が待ち受けているのでしょうか……そしてグリズリースライムはいつ出るのでしょうか……)
長老の家からの帰り道のことです。にぼし男が言いました。
「そういやねずみドラゴン、お前強いのは知っとるがどのくらい強いんや?喧嘩の経験はあるんか?」
「チュッチュチュ」
あまりありません。ねずみドラゴンは、争いごとが嫌いで穏やかな性格なので、本気で怒って喧嘩したことは生まれてから一度もありません。ふざけあいでパパや兄弟や友達と喧嘩ごっこや岩合戦をした程度です。(ねずみドラゴンは、どうも今回の格闘大会も喧嘩ごっこのようなものと思っている節があります。)にぼし男にそう伝えました。
「さよか。いくらお前が強いといっても経験なしではな……一応作戦立てといた方がええかも……岩合戦?岩、投げ合うんか?」
「チュウ」
ねずみドラゴンは「なんでそんなこと訊くんだろう?」という顔でうなずきました。にぼし男は猛烈に嫌な予感がしました。その辺にあった、にぼし男の背丈ほどもある固そうな大岩を指差して訊きます。
「……ねずみドラゴン。この岩、壊せるか?」
「チュウ?チュウ」
ねずみドラゴンは不思議そうに、特に力を込めた様子もなく、大岩に尻尾を叩きつけました。
ドゴオオオオオン!!!!!
ものすごい音がして大岩が粉々に砕け散りました。大岩だったものの破片がそこらじゅうに散らばっています。私達の世界で例えるならば、空手の黒帯の人が全力で発泡スチロールの
にぼし男はニコッと笑って言いました。
「よし!作戦会議しよか!」
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「いいかよく聞けねずみドラゴン。このまま普通に戦ったら、多分お前相手を殺してまう」
「チュウ!?」
真っ青になるねずみドラゴン。
ここはムキムキの森の片隅に張らせてもらった、テントの中です。皆さんは当然ご
それより、にぼし男の話です。
「せやからねずみドラゴン、ワイにいい考えがあるんや。それはな……」
そしてにぼし男は、なにやら小声で説明をし始めました。ねずみドラゴンもうなずきながら感心して聞いています。
「……というわけや!これなら殺してまう心配は無いし、お前のパワーとタフネスも生かせる。もちろんルール上問題もない。どや!」
「チュチュウ!」
おや、どうやら話がまとまったようですね。果たしてにぼし男はどんな作戦を考えたのでしょうか……
(つづく)
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