第9話 ねずみドラゴンの出場
(前回のあらすじ:にぼし男とねずみドラゴンにムキムキの森の長老からなにやらお願いがあるそうです。あやしいですね。)
ねずみドラゴンとにぼし男は、長老の家の中に案内されました────ですが、皆さんご存知のように、ねずみドラゴンは小さめのアフリカゾウ位の大きさがあるため家の中に入れません。仕方なくドアから顔だけ出してお話をする事になりました(ねずみドラゴンが悲しそうな顔をしたのでにぼし男がなぐさめました)。幸い長老の家は玄関から入ってすぐリビングがあり、そこでお話をする事になりました。
家の中には長老の他にもう一人いました。着流しを来たどことなく古風な感じのパンダです。ですが、どうやら右腕を骨折しているようで、ギプスを着けていました。
「改めまして、ムキムキの森の長老のひげモグラですじゃ。よろしくお願いしますじゃ。こちらはムキムキ格闘大会選手のサムライパンダですじゃ」
「
長老とサムライパンダはそれぞれそう言い、頭を下げました。
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長老とサムライパンダが事情を説明します。
「この大会は勝ち上がった選手が怪我などで戦えない場合、代理の選手に戦ってもらう事が認められていてな。そこでねずみドラゴン殿、
「ちょうど代理の選手がいなくて困っている所だったのですじゃ。ねずみドラゴンさんはあの伝説のドラゴン族、しかもその身体の大きさ。優勝も夢ではないですじゃ。まさに天の助けだと思いましたですじゃ。
参加料はワシの方で負担しますじゃ。3位以上を取れば賞金が貰えますじゃが、賞金の3分の1はにぼし男さんとねずみドラゴンさんに差し上げますじゃ。どうですじゃ?」
との事でした。にぼし男とねずみドラゴンは顔を見合わせます。にぼし男は「ちょっと時間もらいますわ」と言ってねずみドラゴンと外に出ました。
「どないする?ワイは出んでもいいと思うわ。話が急すぎて怪しいし、旅の日程ずらさなあかんし、危険に比べて
「チュウ……チュチュウ」
ねずみドラゴンは、パパやママ、兄さんや姉さんに、「困っている人がいたら自分から進んで助けましょう」という内容の教えを受けて育ってきました。それに自分が格闘大会に出るなんて、なんだかワクワクします。
「チュウ!」
「え、出るんか?いくらお前が強いいうても、格闘大会やぞ?さっきの奴みたいに怪我するかもしれんぞ?」
「チュチュウ!」
「そか、まあお前がええと言うならええねん。無理はするなよ。危なくなったらすぐに降参せえよ」
「チュウ!」
にぼし男達は参加する旨を長老達に伝えるととても喜びました。普段のにぼし男であれば
長老の家から帰り際に、サムライパンダはこっそりこんなことを言いました。
「長老殿はこのムキムキ格闘大会が始まった頃からの出場選手だったそうだが、現役時代はついに優勝できなかったそうだ。引退後はセコンドとして拙者のような新人選手の育成(そだてること)に力を入れていたが、それも駄目だった。拙者は記念すべき100回目である今大会で、長老殿に優勝トロフィーを差し上げたいのだ。よろしくお願いいたすぞ、ねずみドラゴン殿」
長老とサムライパンダの期待を背負って格闘大会に出場することになったねずみドラゴン。はたしてどんな相手が待ち受けているのでしょうか……
(つづく)
おまけ
ムキムキ格闘大会概要及びルール
・年2回32名の選手がムキムキの森にて、2日間に渡るトーナメント形式の試合を行う。
・参加料5万オカネ、観戦料1日目は1000オカネ、2日目は3000オカネ
・3位の人には20万オカネ、準優勝者には50万オカネ、優勝者には100万オカネと優勝トロフィーが貰えるが、基本的に参加者は名誉と闘争を求めて参加している。
(オカネ:この世界のお金の単位。私達の世界の一円≒1オカネ)
・選手には必ずセコンドが1名付く。
・選手が怪我などで試合に出るのが難しい場合には、代理の選手に戦ってもらうことが可能。この権利は一度しか使えない。(つまり再度本来の選手がトーナメントで戦う事はできない)代理の選手が勝てば次の試合にもその代理の選手が継続して出られる。
・試合の敗北はレフェリーが戦闘不能と判断した場合、選手もしくはセコンドの降参、2回目のダウン、ダウン後10カウント以内にレフェリーに戦闘継続の意志を示さない場合とする。
・場外に出た場合もダウンと同様に扱う。この場合10カウント以内に場内に戻り戦闘継続の意志を示さなければならない。
・その他のルールはレフェリーのその場の判断に依るものとする。
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