第8話 ねずみドラゴンとムキムキの森
(前回のあらすじ:ねずみドラゴンがいよいよ冒険の旅に出発しました。そしてグリズリースライムが格闘大会で一勝しました。グリズリースライムとは誰なのでしょうか……)
「そろそろ日が暮れてきたな……もうすぐムキムキの森っちゅう森があるはずやから、今日はそこで野宿にしよか」
「チュウ!?チュチュッチュウ!」
ねずみドラゴンとにぼし男が冒険の旅に出てから、最初の日暮れが訪れました。二人は食事の時以外歩きづめだったのですが、ねずみドラゴンはドラゴンの体力と冒険へのワクワクで、にぼし男はトレジャーハンターとしての慣れと経験で、そこまで疲れていませんでした。
やがてムキムキの森が見えてきました。
「お、なんや賑わっとるな。そういやもう格闘大会の時期か。この森は腕自慢が多い事で有名でな。年に2回格闘大会が開かれとるんや。ねずみドラゴン、せっかくだからちょっと観ていかへんか?」
「チュ?チュチュウ!」
ねずみドラゴンは
ところが。
「あー、すみません今日の分は終わりなんですよ。でも明日こそが本番みたいなもんです。本大会はトーナメント形式になってまして、今日は32名の参加者がそれぞれ戦って残り16名となりました。明日はその方々が決勝まで試合をしますので、すみませんがまた明日お願いします」
スタッフの方にそう言われました。
「チュウ……」
「ま、まあしゃあないやろ。どうせ明日の朝までいるつもりやったし。すまんが1、2試合位しか観れんと思う。いいか?」
「チュウ……」
「す、すまんて。天候とか色々考えるとまあまあ急がなあかんねん。それにワイらは観光に来たわけやない、冒険に行くんや。せやろ?」
そうでした。ねずみドラゴンは気を引き締めました。
「チュウ!」
「よしよしええ子や。とりあえず今日はこの森にテント張って泊まる許可をこの森の長老にもらわなあかん」
長老の家はすぐに見つかりました。家の前に大きな看板があり、『長老の家 ──Chourou's house──』と書いてあったからです。
にぼし男は家のドアをノックして「すんませーん」と言いました。
「はいですじゃ」ドアが開いて、立派な白い
「長老さんですか?夜分にすんません。自分ら、にぼし男とねずみドラゴンいうトレジャーハンターの者です。今晩だけ森にテントを張らせて頂いてもよろしいでしょうか」
「それはもちろんいいですじゃが……」
ねずみドラゴンと長老の目が合いました。ねずみドラゴンには長老の目がギラリと光ったように見えました。
「代わりと言ってはなんですが、ワシからもお願いがあるですじゃ」
なにやらあやしい気配がしてきました。長老のお願いとはなんなのでしょうか……
(つづく)
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