第3話 ねずみドラゴンの招待

(前回のあらすじ:いにしえのドラゴン、ねずみドラゴンを罠で捕まえようとした魚の干物、にぼし男ですが、しかける前にもう見つかってしまいました。どうするにぼし男!)


「アハハ……あんさんどうも……にぼし男いいますーよろしゅうなー」

 にぼし男はチラチラと後ろの作りかけの罠を気にしながらいいました。どうやら言葉でごまかすつもりのようです。目は泳ぎ、だらだら冷や汗を流しています。(おしっこは出ないのに汗は出る理由はわかりません)大丈夫なのでしょうか。

「チュ?」

 ねずみドラゴンが首をかしげます。そしてにぼし男の後ろを見ます。にぼし男がチラチラ見ているからです。

「ああーこれでっか!これは……そう!パーティーグッズですわ!いやーあんさんにご挨拶あいさつをと思って、色々おみやげ持ってきましたんや!チョコレートはお好きでっか?ぎょうさんありまっせ!」

「チュチュチューチュ?」

 ねずみドラゴンはチョコレートを知らないようです。にぼし男はどこからかチョコレートを出しました。

「これでっせ!うまそうでっしゃろ!お近づきのしるしにさしあげますわ!

ほな、今日の所はご挨拶あいさつということで、ドロンさせて頂きま……」

「チュウ!チュウ!」

 チョコレートをもらったねずみドラゴンは小おどりして喜びました。(その際の振動でにぼし男はちょっと浮きました。後ろの罠は壊れました。)そして、パタンと家のドアを開け、中に入り、顔だけ出して、

「チュチュッチュウ」 

 といいました。

 にぼし男にもねずみドラゴンが何をいっているのか段々とニュアンスだけなら分かってきました。どうやら、にぼし男を家の中に招待しているようです。

「や、ホンマおかまいなく……」

「チュウチュウ」

 ねずみドラゴンはニコニコしながら前足でにぼし男を引き寄せました。ねずみドラゴンとしては「まあまあ遠慮しないでくださいよ」位の感じで、人間でいうところの親しみを込めて軽く肩をポンとやる位の、本当にねずみドラゴンの出せる最小限の力だったのですが、にぼし男を凄まじい勢いで室内に引きずり込むには十分な力でした。

「アバーッ!?」

 にぼし男はロケットのように室内にすっ飛びながら、再び恐怖に震えていました。

(ひいぃぃ!?やっぱり捕まえようとしたことがバレとるんか!?このままおいしくいただかれてしまうんか!?ナンマンダブナンマンダブ)

 はたして誤解は解けるのでしょうか……


(つづく)


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