第8話 思 い 〜 彼等から奪わないで 〜
それから数ヶ月が過ぎ、うちの高校は最強バスケ部として、高校2年の時、一気に名を挙げ、有名になった。
そして、私達は高校3年生を迎え、1年、2年と新しい部員もマネージャーも増えた。
「じゃあ、キャプテンと副キャプテンは、2人で良いな」
「つーか、圧倒的に票は2人っしょ!?奴等以外いるわけないじゃん!」
「2人がいたから、全国も行けたんだし!」
「夕飛、劉樹、頼んだ!」
「あ、ああ」
キャプテン…樹砂羅 夕飛。
副キャプテン…紗々木 劉樹。
二人に決まった。
そして、ある日の学校帰り、夕飛と帰っている時だった。
「おい、おい。イチャイチャしてんじゃねーぞ!」
「見せ付けんなよな!」
3人の男の人達に道を塞がれた。
「は?いきなり何?言い掛かりかよ」と、夕飛。
「あなた達に迷惑掛けました?友達なんだから仲良くする…」
「真央、お前は辞めとけ!」
言い終える前に手で制する夕飛。
「だって…」
「話して分かる奴等じゃねーから。奴等は…」
「あれ〜?つーかさ…お前…何処かで…」
「あっ!思い出した。樹砂羅 夕飛じゃね?」
「えっ?夕飛の事…夕飛?どういう…」
「なあ、樹砂羅、お前が退学なってから、俺達、あの後、部活、活動停止なって、部活も廃部。お前の事件のせいで全て奪われたんだけど?」
「……………」
退学?
部活?
活動停止?
まさか…
それって…
バスケ部の関係者?
「そうしたら、今、また活躍してるらしいじゃん?」
「良くもまあ、問題起こした挙げ句、今じゃ女とも宜しくやってますって?」
「ふざけやがって!」
グイッと相手は、夕飛の胸倉を掴んだ。
「や、辞めて下さい!離して下さい!」
私は間に割って入った。
「確かに、そういう過去あったかもしれません!でも、夕飛は悪気なんてなかった!それに…今は頭を下げて部活専念している夕飛を彼等を邪魔するのは辞めて下さい!試合が控えてるの!」
「そうだろうな?」
「めちゃくちゃにしてやるよ!コートに立たせるわけにはいかねーな」
「両手と両足、傷作ってやるよ!」
「そして、問題起こして出場停止!」
「辞めて!」
ドンと私を押しのけた。
「きゃあっ!」
「真央っ!」
転倒しそうになる私を誰かが抱き留めた。
「先輩達…相変わらずなんですね?」
《えっ…?》
「劉樹…君…」
「大丈夫?真央」
「若南…う、うん…」
「…劉…」
「誰かと思ったら…紗々木じゃん!」
「へぇー…お前もバスケ?」
「おい、おい、2人してバスケ続けて女と宜しくかよ」
「本当、神様って不公平だよな〜」
拳が振り上げてくる。
パシッと受け止める劉樹君。
「俺達、試合控えてるんで失礼します。夕、行くぞ」
「あ、ああ」
私達は去り始める。
次の瞬間―――――
「野郎っ!」
「カッコつけやがって!」
「2人纏めてコート立たせるかよ!」
キラリとナイフが目についた。
「危ないっ!」
私は二人を押し飛ばす。
ザクリ…
「…っ…」
私の脇腹にナイフが刺さる。
「真央っ!」
「真央ちゃんっ!」
「おい…マジかよ…」
「おいっ!逃げるぞ!」
相手はヤバイ状況に逃げ始める。
ザワつく周囲。
私は一人の人を掴み引き止めた。
「…は、離せ!」
「……お願い…彼等から…バスケ…奪わないで…」
「バカっ!傷口開くから話すな!」と、夕飛。
「あなた達には…申し訳ないって…でも…こんな事しても…何も変わらないから…これ以上…邪魔しないで…お願い…」
「わ、分かったから!」
「…っ…」
私は気を失う。
「真央ちゃん!」
「真央っ!」
気付いた時は病院の病室。
「生きてた…バスケ部大丈夫かな?」
私は心配で仕方がなかった。
その後、彼等が捕まった事を聞いた。
そして、彼等、先輩だったと思われる過去を聞いた。
バスケのメンバーであり、選手候補の彼等だったけど、夕飛や劉樹君に選手の座を奪われ、恨みで、わざと夕飛に問題を起こすように仕向けていたとの事だった。
勿論、これは他校生も絡んでいたみたいで……
顧問である先生もグルであり、辞めさせたいが為に協力したらしい。
有名バスケである学校にも色々な事情があるようだ。
正直、余り良い噂がなかったようだけど……
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