第7話 二人の恋

そして私達の学校に季節外れの転入生が来た。


まさか本当に来るとは思ってなかった。


しかも、同じクラスって…驚きの連続だ。


私のクラスに来たのは紛れもなく


紗々木 劉樹。


髪色を校則の規則を破る事なく、染め直したと思われる。




その後、私達はバスケの顧問の先生と部員のみんなに頭を下げ、部員にしてもらうように頼んだ。


過去の事は、顧問の先生や部員の耳には入っていたが、夕飛は、間違っていない事を既に理解してもらっていて、部員になってくれる事をみんな心待ちにしていたとの事だった。


再スタートだ。




ある日の放課後。




「マネージャーって本当、大変なんですね…」


「そうよ。だけど二人の可愛いマネージャーが増えたから助かってる」



マネージャーの

奈津井 倫香(なつい りんか)先輩。高3。



「部活ってマネージャー希望多い気がするんですけど…」と、私。


「大変なイメージがあるからでしょう?まあ、確かに大変なんだけどね」


「部員とマネージャーの恋とかもありそうな気がするんですけど、実際どうなんですか?」と、若南。


「まあ、なくはないだろうけど…そんな中、二人は良くマネージャーする気なったわね?」


「専属なんて言ってくるから…でも、他に理由あるんですよね…二人がコートでみんなとバスケしている姿を見たかったから」


私は言った。



「えっ?」と、2人。


「その勢いもあるかな?」の私。


「そうなのね。ちなみに、二人は、彼らとどういう関係なの?」


先輩が尋ねた。




「ただの友達なだけです」と、私。


「恋愛感情は?」と、先輩。


「私はありません!」と、私。


「若南ちゃんは?」


先輩が尋ねた。



「えっ?…私は…」


若南が、顔を赤くする。



「あっ!その様子じゃ気になるんだ」


先輩が、目を輝かせ尋ねる。



「…それは…」


「誰?誰?」


「…紗々木…君…です…。でも…まだ、そこまで親しくないから気持ち伝える勇気なくて」


「言えば?」と、先輩。


「えっ?」


「だって好きなんでしょう?だったら伝えるべきよ。例え報われないとしても気持ち知ってもらうと随分と楽だと思うけど?」


「やっぱり、そうですよね?だから、言ったじゃん!」


「でも…」


「例え告白しないとしても気付く人は気付くから。勘が鋭い人にはバレちゃうわよ」


「…そうなんですね…」


「そうよ。それに、告白してから距離が縮まる事もあるわけだし。仲良くなる近道じゃないかな?と私は思うけど…まあ、人それぞれだから強制はしないけどね」



私達は色々話をし騒いでいた。



そんなある日。



「若南、手伝ってあげたら?」

「えっ!?無、無理だよ!」

「二人きりになるチャンスだよ!」



私達の学校は部員一人が最後に残り、日替わり当番制で順番が決まっている。


コートの掃除と最後の最終チェックして鍵の返却。


そんな当番制の相手が劉樹君だからだ。


マネージャーである若南のチャンス到来!?


若南は、勇気を出して手伝う事にした。


そんな中、私は、ある人物に目が止まる。


夕飛だ。


仲が良い二人な為、夕飛は手伝う方向で劉樹君に近付く。




「夕飛っ!」

「何?」

「ちょっと聞きたい事あるから付き合って!」

「は?今?明日に…」

「ジュース驕るから!」


「は?小さな子供(ガキ)じゃねーんだから、俺はつられねーぞ!」


「あんたは子供(ガキ)じゃん!」

「なっ…!てめー」




グイッと、夕飛の腕に自分の腕を絡める。



「な、何だよ!気持ち悪いな!」


「失礼だなっ!レディーに言う言葉?相変わらずムカつくんだけど!」


「お前は、レディーじゃねーだろ!」


「はあああっ!?レディーです!」




私達は騒ぎ移動し、二人きりにさせるように何とかこぎつけた。



「ごめんっ!劉樹君、夕飛、借りるね?」


「おいっ!俺はモノじゃねーぞ!」



「あ、ああ。まあ、そういう事なら…夕飛、またな!」


「えっ…?あっ!おいっ!」



体育館を出て足を止める。



「ごめんっ!夕飛!協力して!」


そう言いながら両手を合わせる。



「えっ…?」


「二人きりにさせてあげたくて」




「…二人きり?」


「うん」


「どうして?」


「…どうして?…って…は?分かるでしょう?」


「いや」


「…マジで言ってる?」


「ああ」




《夕飛…まさか…鈍感?》



大体、二人きりになるとかって告白とか、色々な恋愛事情が普通のはず。


予測はつくはずなんだけど……





一方。



「紗々木君」


「あれ?若南ちゃん。帰らないの?」


「あ、うん…手伝うよ」


「えっ?大丈夫だよ。女の子に手伝わせるなんて申し訳ないし」


「バスケ部マネージャーだし」


「マネージャーとはいえ、女の子だから」


「優しいんだね?でも、大丈夫だよ。私が手伝いたいから」


「そう?じゃあ、お願い出来る?」


「うん」




一通り済ませ、その帰り。



「サンキュー」


「ううん」


「それで?」


「えっ?」


「他に用事あったんじゃない?」


「…えっと…それは…」


「まあ…何となく予測はつくけど」


「…えっ…あっ…」



「良いよ。若南ちゃんのタイミングで」


「私…き……」


「えっ?」


「好きなの!紗々木君が!…まだ…そこまで仲良くないし、お互いの事、良く知らないから…ゆっくりで良いから…付き合って…欲しくて…」



「………」



「…と、突然過ぎるよね…ごめん…。返事は、すぐにとは言わないから…」


「…サンキュー…気持ちは、凄く嬉しいけど…今は…やりたい事あるから」


「…そっか…」


「つーか…返事はすぐにとは言わないって言ってるけど、いつまで待つの?」


「…えっ…?」




ポンと頭をする。



「なんて嘘。恋人としては無理だけど友達なら良いよ。もし、恋人として付き合いたいって言うなら、また、改めて告白して来な。今は、それしか言えない」


「…そっか…」



ポンとした頭から手を離す。


「つー事で、若南ちゃんは、名字を呼ぶのは辞めるのが先。俺、若南ちゃんって呼んでるんだから、下の名前呼ぶ練習!」


「下の名前……劉樹…君?」


「そう!それ!遠慮しなくて良いから。真央ちゃんが、夕や俺、若南ちゃんと接してるように話せるようになる事!」


「…うん…」


「ゆっくりで良いから。若南ちゃんのペースでな」


「…うん…」




二人は、友達として仲良くしていく事になり、若南が変わって来ているのが分かった。


部員達が声を揃えて、雰囲気変わったと噂しているのを耳にした。















































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