第6話 バスケを…

「真央、私…好きになったかも…」



若南が、突然言い出した。



「えっ…!?誰を?私なんて言わないでよ」


「いや違うから!真央は真央で友達として確かに好きだけど恋愛感情じゃないから」


「違う意味で嬉しい告白♪で?誰が本命?」


「えっ…あ…紗々木君…」


「あー…なるほど!うん、カッコイイよね?認める!良いんじゃない?彼女いないらしいし」


「そうなんだ…」


「うん。何か1年前に別れたとか?原因とか理由は知らないけど」


「でも…私じゃつり合わないないよ。紗々木君、カッコ良すぎる」


「選ぶのは当人同士!カッコ良くても好きになったものは仕方がない!想い、止めれないじゃん!」


「…真央…」


「ねっ!とにかく仲良くなろう!まあ、私もそこまで仲良しじゃないけど」





そして、ある日の学校帰り―――



「河原で喧嘩だってよ!」

「行ってみようぜ!」

「おう!」




私も足を運ぶ。



「…樹砂羅君…?」



ちょっとの隙間から見えたまさかの人物に私は、更に、野次馬を押しのけ河原に向かって駆け寄る。




「樹砂羅君っ!辞めてっ!」

「…真央?来るなっ!」



私は聞く耳を持たず間に割って止めに入る。



「喧嘩したら退学だよ!警察行きだよ!」


「ほっとけよ!お前が割って入るもんじゃねぇ!そこどけよ!」


「嫌っ!退かないっ!樹砂羅君…夕飛が喧嘩しないって約束するなら退いてやるわよ!」




「何やってんだよ!!やんのか!?それとも女を身代わりにしてここを切り抜けるのか?俺達は別に良いんだぜ?」




振り返る私。



「彼を巻き込むのは辞めて!言う事が聞けないなら彼の代わりに私を殴りなさいよ!」


「殴るねぇ〜」


「つーか、殴るよりも、別の楽しい事で、楽しませて貰おうかなぁ〜」




歩み寄ると、グイッと私の手を掴む。



「えっ!?」


「真央っ!」


「おっと!お前は俺が相手な!」



殴りかかる相手の男の人。




「夕飛っ!」




次の瞬間。




夕飛の間に人影が見えた。




「暴力ってさ警察沙汰なんだよね?一緒に警察行く?お兄さん達」


「…紗々木…君…?」

「…劉…」



「俺、騒動起こしたくないんだけどな〜。どうしようかな〜?」


「…野郎…」




私の手を掴んでいた人が、私を背後から抱きしめるようにすると、ナイフを突きつけた!



「おいっ!女が傷ついて良いのか?」



「………………」




「それ!反則でしょう?お兄さん達」と、紗々木君。



「わ、私は大丈夫だから。2人共、手出したら駄目!」



「………………」





すると、遠くからパトカーのサイレンが聞こえて来る



相手は、慌てて逃げた。


私達も逃げようとするが、私の体が恐怖の瞬間の後でいう事を聞かない。



「……………」



2人に両手を掴まれ、逃げる事にした。


とある公園。



「全くお前は無茶苦茶なんだよ!」と、夕飛。


「えっ?いや…だって…つーか…夕飛も人に言える立場じゃないじゃん!また、問題起こたら本当にバスケが出来なくなるよ!」


「俺にバスケの話をすんなって言った…」




パシッ

夕飛の頰を平手打ちした。




「…打たれる意味分かんねーんだけど…!?暴力すんなって言ったお前が手出すかよ!」


「理由は、どうであれ暴力とか喧嘩とか手を出す事は犯罪だよ!私が来なかったら夕飛、絶対手出して暴力事件起こしてたよね!?」



「………………」



「自ら……その手で自分の手でバスケする事諦めてどうすんの!」



私は、夕飛の両手を掴む。




「夕飛の、この両手はバスケの為の両手なんだから…夢掴みなよ…バスケの為だけに、この両手を使ってよ…」



「…真央…」


「絶対退学なんてさせない!夕飛には、バスケを続けて欲しいから!」



「……………」



「劉樹君と夕飛のバスケを見たいから。余計なお世話かもしれない…でも…本当は凄く好きなんでしょう?2人がバスケをしている姿、何度も見た事あるから…」



「…えっ…?」



「私…2人と出会ってから後の事の、ある日、2人がバスケしている姿を初めて見かけた時から、ずっと…こっそり見に来ていた」





二人の姿の光景が蘇る。




「マンツーマンな!」


「いいぜ!どちらかが、5点入れた方が、ジュースおごりな!」


「望む所だ!」




あれは、小さな広場でバスケをしていた2人の姿。


凄くキラキラ輝いてて眩しくて無邪気に、そして、真剣な眼差しでやっていたバスケ。


時には、他の子供達を相手して、楽しそうに目がイキイキしていた光景が目に浮かぶ。



――――現実。



「私に…本物のコートで、2人がバスケをする姿を観せてよ…ねえ…夕飛…ううん…私にだけじゃなくて、みんなにバスケ見て貰って認めて貰おうよ。全国だって夢じゃないよ!」


「…お前に…何が分かんだよ…バスケ未経験のくせに」


「確かに未経験だし、詳しい事は知らない。でも…2人がバスケに戻す事出来るなら、私は土下座だって何でもしてやるわよ!」




「……………」



「…どうすんの?夕」

「…えっ…?」

「お前が戻る気あるなら、俺は協力するけど?」

「…それは…」

「今なら、まだ、間に合うだろう?お前、いつも口癖のようにコートでバスケしたいって言ってるもんな」


「バカっ!それを言うなよ!」



クスクス笑う、劉樹君。



「…だったら…お前が俺達の専属マネージャーしろ!勿論、若南ちゃん誘っても構わねーよ」


「専属!?」


「いやいや、夕、専属は流石に無理だろう?」


「まあ、そうだけど…戻る代わりにマネージャーしろ!それ条件な!第一、お前が戻れって言ったんだからな!傍で見てろよ!見届けろ!」



「わ、分かった!分かりました!」


「言ったな!じゃあ約束だからな!」


「真央ちゃん…マネージャー甘くないよ?大変だよ?」


「し、仕方ないじゃん!2人をコートに戻す為なら私は…」




ポンと頭を劉樹君にされる。



ドキン



そして、グーを出す。



「真央ちゃんも、ほら、夕も」




私達は、グーをコツンとぶつけ合う。



「改めて宜しくな!俺、そっちに転校してくるから。それからスタートだからな!若南ちゃんには、真央ちゃんから話しておいて」


「分かった」




私達は別れた。



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