プロットを作ろう その①
マインドマップも終えた頃
「次はプロットを作る。」
と、藤堂先生はそう告げた。聞いたことはある。設定やら話の大まかな流れ、重要項目を書き出すと言う事は知っている。しかし、具体的にどうすれば良いのか。
「先生〜、プロットって何ですか。」
「三枝、良い質問だ。プロットとはストーリーのすじ道を短く要約したものだ。」
「それでどう書くんだよ。」
「知らん。小説なんて書いたことがないって言ったろ。」
「使えねえ。」
本当に駄目な教師だ。人にものを教える気がさらさらない。これでどうやって小説をかけというのか。
「そうだな。三枝は三野瀬との出会いとか書けば良いんじゃないか?」
「なんで!?」
「おまえら付き合ってんじゃないの?」
「はぁ!?」
「待って。なにその勘違い。そもそも大地は畑中と付き合ってるし。」
「いや、お前が原因で別れたよ……。」
「マジで!?」
「大マジ。」
「三野瀬。お前は裏切り者だったのか。三枝という者がいながら。」
「だからなんでお前は僕と三枝を付き合わせようとするんだよ。」
「いやいやいやいや。おまえと三枝が付き合っているのは、もはや公式もとい誰もが認めるところだぞ。」
「どこから湧いて出た、その公式とやらは。」
「だっておまえは三枝の為に第二文芸部に入ったんだろ?それはもう付き合ってます宣言だろ。」
「……。」
「……。」
まさか、学校中でそう思われているのか。てっきり畑中だけかと思っていた。
「そうだ。畑中さんにプロットの書き方聞きに行けば良いじゃん。」
「やだよ。どんな罰ゲームだよ。」
「畑中さんって文芸部部長じゃん。小説の書き方聞きに行こうよ。」
「それは良いアイデアだ。それとなく三野瀬との関係を聞きたいしな。」
「やめてくれ、マジで。」
なんでこんな流れになったのか。人は過去から逃げられないのか。
「しかし、なんで畑中と付き合ってたんだ?」
「もともと僕は文芸部だったんだよ。そこで知り合った。」
「図書室の主だからね、大地は。」
「おまえ、本当に文学好きだったのかよ……。」
「生徒を信じろよ、先生。」
畑中との出会いは文芸部だった。それは嘘ではない。ただ、きっかけはこの図書室だった。まだ神聖なる読書家のオアシスであった頃の話だ。
畑中との思い出は、おいおい語ることになるだろうから置いておくとして、文芸部とはちょっと一悶着を起こしてやめたので気まずい。小説を書きたくない。と意地を突っぱねてやめたのだ。いまさら小説の書き方を教えてくれなどと頼むのは虫が良すぎるだろう。
そんな事情を話したところでこいつらが面白がるだけなのは目に見えている。覚悟を決めるしかなさそうだ。
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