第28話

「さてっと、何から話したらいいのかな?そうだ。こう言った方が早いかもしれないね。一季・・・一季さん、私に何を聞きたい?」

R13こと、弘美は言った。この時、彼の目は一季の後ろを見ていた。

「おや!君も来たのかい?」

一季が振り向くと、ミャーがいた。

「ミャー」

と言って、一季はミャーを抱き上げた。彼女は何となく不安で落ち着かなかったが、ミャーを抱いたことで、ほっとした気分になった。

それでも一季はこの老いた弘美と面と向かっているのが不安になり、いつもの落ち着きを完全に取り戻すことは出来なかった。外から見た乗り物は人が二三人乗れれば良いほどの大きさだったが、中はずっと広い感じだった。いや、遥かにひろかった。

「何を、そんなに驚いているんだい?」

老いた弘美は落ち着き払った目で一季を見ていた。一季が入った部屋の中をきょろきょろと見ている姿を見て、ほっと笑った。

「そうか。ここに入ったの、初めてだったね。もっと早く君をここに招待をして、いろいろと話をしなくてはいけなかった。私は君と遊ぶのが余りに楽しかったので、今日まで延びてしまった。謝るよ」

「えっ!」

一季は訳もなく謝る置いた弘美に戸惑い、返事に窮してしまった。

「さあ、ここに座って!」

老いた弘美は指差した椅子に座るように、言った。

一季がその椅子に座ると、老いた弘美は口元を歪め、

「落ち着いて聞いてよ。君を驚かす気は少しも無いからね。おそらく君には分からないことだらけだと思うんだけと・・・」

老いた弘美は一季の反応を窺った。どうやら少しは落ち着いて来たように見えた。彼女は一回、首を振った。話して行く内にきっと分かってくれる、と彼は思うしかなかった。もう、これ以上秘密にしておくことは出来なかったのだ。彼は一季に頷くように求めた。

一季はそんな弘美の様子を見て、頷いた。

「いい子だ。それでいい。これから話すことは、その気持ちのまま聞いてもらった方がいいと思う。でないと、君の頭の中は混乱してしまい、私の話をまるっきり信じてもらえないと思う」

一季は唾をごくりと呑み込んだ。彼女もとんでもないことを聞かされるんだと予想した。

「私はこの時代の人間ではないということを、初めに知っていてもらいたいんだ」

「えっ!」

と一季は目を丸くし、それ以上の言葉が出なかった。よくファタジーな映画で聞く文句だった。だから、凄く驚くようなことではなかった。でも、自分の近くの人に告白されると、ちょっと面喰ってしまう。

弘美は一季に同意を求めた。

一季はこくりと頷いた。そうするしかなかった。

「よろしい。そしてね、君と私は全くの縁のない関係ではない・・・という事実があることも認めて欲しい!」

一季は目を大きく開け手足の動きが止まってしまった。いきなりそんなことを言われても、どういう態度をしていいのか?彼女の神経はがたがたと震え始めていた。

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