第31話 絶好調だボケ
放課後。中庭に現れたオレとゼータローを見て、渡り廊下が動揺気味の声に包まれた。
土曜の試合すらも見物人は少なかったのに、更に今日は閑散としてるな。まぁ我々、雪崩式ドロップスですからね。
土曜と同じように、勝ちが見えている試合なんぞ、誰もわざわざ見たがらないんでしょうな。
増してや探し物を見つけるだけの奴と、能力未公表の転校生ですからね。オレもゼータローの能力知らなきゃ、見る気せんわ。
「おっと、転校生だったか」
保持者なので東から。遠藤稔二と入場した曾田司一郎が、ゼータローを見るなり目を丸くした。
「まだ基礎訓練初めて、一週間だが平気か?」
対する遠藤稔二は、嫌味でも無く本気で心配してそうな目だから腹立つ。お前に気遣われなくても、ゼータローは昨日あれだけ練習したんだ。舐めんなイケメン共が。
「今日はガソリン満タンかい?」
「産まれた時から絶好調だボケ」
ゼータローに肘を突かれ、挑発に乗ったのに気づいた。こっちも強敵を目の前にして、余裕無かったんだな。出された拳にオレのを重ねると、向こうさんも同じように拳を重ねた。
そして四人の拳骨が合わさった時、試合開始の鐘が鳴り響いた。
まず遠藤稔二が動いたので、このオレが相手になるとしよう。
曾田司一郎と比べてコッチの方は、力がある上に動きも上位に入る。
何より厄介なのは、身体の柔らかさっつうのか。とにかく動きが軽くて速くて柔軟性があるから、なんかの売り文句みたいな言葉を具現化したような野郎だ。
目が離せないからゼータローに構う余裕なんて無いが、昨日の練習で成長した奴を信じるしかない。
後はオレの能力だな、悔しいが曾田司一郎の言う通りだ。相手の攻撃箇所が読めるからっつって、バカスカ使いすぎると精神力が減っていく。
念のためロックに数値を見て貰っているから、本気でヤバい時は白旗を投げられてしまう。
つまり避けられる攻撃は、自力で避ける。出来るだけフェレットアウトに頼らない、ってのが今日のオレの課題だ。
何が課題だよ。いつからオレ、こんな能力戦にマジになったんだか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます