第30話 マジで背骨ブチ折ってやるわ
週が開けて月曜日。
いつもなら憂鬱な感じで登校するが、今日のオレは曾田司一郎の登校を待ちわびていた。
奴と遠藤稔二は、ソールダウト・ネンジーズっつう名称で、獅子の紋章を保持してる。
いわゆる一年A組で最強の二人組、っつう立ち位置にある。そんな奴らの地位が今日、元能力戦不参加だった奴らに脅かされるんだ。楽しみで仕方ない。
すると眠そうな面で教室に入ってきたのは、お待ちかねの曾田司一郎。左窓際、一番前。遠藤稔二の隣の席に腰掛けた。オレはゼータローに、目で合図を送った。
曾田司一郎、遠藤稔二の生徒端末が同時に青白く光った。二人が同時に端末を手に取ってるが、今ごろ画面には挑戦状の三文字が浮かび上がっているに違いない。
「マジか! 雪崩式ドロップスか⁉」
ちょうど遠藤稔二の後ろの席が、馬鹿の位置だった。覗き見たんだろうな、大友悠が大声で挑戦者の名前を叫びやがった。
共闘戦の場合は、チーム名で端末には表示される。その為ある意味では、誰が挑戦したか分からない。いわゆる匿名状態で送れてしまう。
ただ雪崩式ドロップスならば、四人のうちの誰かなのは明白だ。
恐らく水曜の時みたく、オレとシブイバシって思うだろうな。教室の視線はあっという間に、オレとシブイバシに向かった。
二人が了承の項目を押したのだろう。教室全員の生徒端末が一斉に光ったので、試合は決定された証拠だ。
初代獅子の紋章保持者が、試合を拒否らない姿勢だったからだろな。それに奴らも、倣ってるのかもしれんな。
「今度は……ガス欠になんなきゃいいなぁ」
金曜の試合を蒸し返したいんだろ、曾田司一郎が敢えて大きな声で独り言を吐いた。
教室が笑いに包まれて、オレはケツに火がついた。
この野郎、マジで背骨ブチ折ってやるわ。
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