第16話 ナンバーワンとナンバーツー


「共闘戦って何?」


 昼休み、食堂。既にゼータローは、雪崩式ドロップスと行動を共にしていた。ゼータローの質問には、見ての通り頭の良さそうなロックが、頭が良さそうに眼鏡をクイっとしてから答えた。


 能力戦は幾つかの闘い方があるが、共闘戦ってのは基本的に二対二で行われる奴だ。ツーマンセルと呼ばれる形で、二人で組んで闘う方式なんだ。


 共闘戦でも称号は用意されており、それが獅子の紋章となってる。


別にこれを手に入れたからって、金が貰える訳でもモテるわけでもない。ただ単に、一年A組最強と認められるだけ。それだけなのに、皆が最強の名を欲しくて日々闘いを繰り広げている。


「ですが……。なんと今回の相手は、獅子ではない紋章の保持者なのです」


 ロックの台詞の意味が理解出来なかったのか、ゼータローは首を傾げた。


 能力戦で用意されている紋章は三つ。っていうか、四つ。


 百合の紋章、竪琴の紋章。この二つが、一人で闘って取る称号。


 獅子の紋章は二つで一組になってるから、ツーマンセルで取る称号っつう。


「板垣央氏は百合、大友悠氏は竪琴の紋章を保持しているのです」


 つまり実質ナンバーワンとナンバーツーが組んで、昨日まで不参加だったオレら雪崩式ドロップスと闘うっていうな。笑えてくるよな、当事者は笑えねえよ。


「……そ、それって大丈夫なの?」


 ゼータローが心配そうな目でオレらを見るが、もうこうなったら後には引けない。男だからな、意地ってもんは貫き通す義務がある。


「勝てるなんて思ってねえけど、どうにか一泡くらいは吹かせてやるよ」


「いや、消極的だな」


 勝てるつもりでいるのだろうか、シブイバシが突っ込みを入れてきた。


「誰のせいだと思ってんだよ」


「馬鹿のせいだ」


 今日ばかりは確かに、馬鹿が引き金をひいた。いや、でもなぁ。先に手を出したのは、シブイバシだしなぁ。本当に昨日から、厄介事に巻き込まれてばっかだなオレも。

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