第14話 罰則


 罰則として負けた方は、能力戦の参加を義務付けられる。そんな約束で、試合は行われていた。


 だがオレの介入によって、反則負けってなって。罰則の能力戦参加は、こっちにも義務付けられた。


 部屋に戻ったシブイバシは、初めて見たってくらい凹んだ表情で謝ってきた。簡単に蓬田英二の挑発に乗っただけじゃなく、オレまで巻き込んでしまった。非常に申し訳ない、って珍しく頭を下げてきた。


「……仕方ねえよ。コトがコトだし」


「ほんと、すまん……」


 全部が全部シブイバシのせいじゃなく、あそこで動いてしまったオレにも責任はある。思えば全てが蓬田英二の策略なような気がするが、そこまで計算高い人間じゃないだろがな。不本意ではあるが、オレも腹をくくらなきゃいけない。


「して、エージ君はどこまで参加しろと?」


 ロックの台詞を耳にして、蓬田英二が課した条件を思い出す。確か、最低でも月に二回の参加で良いって感じだっけ。毎週じゃなくて良かったものの、それでも気なんて進まないな。


「しかし……主催者様があそこまでやるとはな」


 オレの台詞に、他の二人も苦い顔をした。試合終了後、満身創痍だったのはシブイバシだけじゃなかった。痛みを表情に出さないってのは、意外と体力を食うんだろ。蓬田英二も負けずと、息が上がってた。


 シブイバシをオレらが介抱したように、蓬田英二を同じバンドの面子が介抱した。うちの一人の大友悠という馬鹿が、オレとシブイバシにメンチを切っていた。再び嫌な予感がしてならないのは、大友悠が学年最下位の頭を持つ奴だからだ。


「あの馬鹿……どうすると思う?」


「どうもこうも無いでしょう」


 見ての通り頭の良さそうなロックが、頭が良さそうに眼鏡をクイっとしてから答えた。


「幾らなんでも、あれで我々に矛先を向ける程、馬鹿では無いと思いますが……」


 だと良いんだけどなぁ、そこまで行ったら脳に欠陥があるとしか思えないんだよなぁ。しかしオレ達雪崩式ドロップスは、大友悠っつう馬鹿が脳に欠陥を持ってるとしか、思えない目に遭うのだった。

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