第3話 能力を言わなかったな

 オレら能力者っつう存在は、普通の人間が逆立ちしても手に入らない力を持った人間だ。


 兆候はヒトそれぞれだろうが、ある日いきなり髪の毛の色が変わる。


 親や周りに能力者だと判明される。


 学園島へと転校させられる。


 なんやかんやで馴染んで、今に至る。


 以上を持ちまして、内定とさせて頂きますわ。


 週の始まり、月曜日。その日、ホームルームで転校生が来たっつう話を教師からされた。


 教室に居る全員が勘づいただろうが、恐らく能力開花で本土から転校させられた哀れな少年だわな。


 ここに入った時点で、将来は確約されているっつうがな。なんと受け取り方は、本人次第だ。


 オレが少し可哀想に思うのは、この中途半端な時期のせいだ。


 五月の後半。つまり高校入学して一か月強の時期に、無理やり転校させられたっつう話になる。


 せっかく友達も何人か出来て、もしかしたら彼女も何人か居たかもしれない。なのに男女別の校舎にブチ込まれたもんだから、何か苦痛でしかないだろな。


「神田勢太郎です。よろしく」


 教師に呼ばれて入ってきたのは、髪の毛が赤と水色。っつう以外は、普通の男子だったな。


 太ってはないが、痩せすぎても無い。背はオレと同じくらいか。百六十くらいか。毛先が赤で、根元は水色か。このクラスには居ないが、学園島全土で探せば、三人くらいは見つけられそうな色だっつうな。


「席は……曾田を移動させたくないから、板垣の後ろでいいな」


 教室の座席位置は、五十音順だ。神田ってことは、大友悠っつう馬鹿の後ろになんな。


 真ん中だけ七席にする訳には、いかないだろうしな。一番前の居眠り常習犯である曾田を、ズラすのも嫌だろう。一番右が五列だから、そこが一番良いっつうな。バランスも取れるだろうしな。


 能力を言わなかったな、自分からバラす必要は無いんだけどさ。最終的には筒抜けになるんだから、どうでもいいんだけどさ。


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