第50話 オプション付けますか?
「……先輩、こうですか?」
葉月ちゃんが僕に密着し、甘い声を囁いてくる。優しい温もりにドキドキしてしまい、襲い掛かってしまいそうだ。
「う、うん。でもこっちの方が良いかな……?」
僕は優しく葉月ちゃんを導いていく。激しくしてしまうと怒られてしまうのです。なので、ゆっくりと優しく、丁寧に……。
「ん~……先輩、私もうダメかもしれません……」
葉月ちゃんの苦悶を浮かべた表情に、ちょっと興奮してしまう。僕も我慢が出来なくなってきたぞ。
「もう少しだから……あとちょっと……」
手を休めそうになる葉月ちゃんを応援し、頑張って貰う。もうちょっと、あとちょっとなのだ。
そして慌ただしく動いていた葉月ちゃんの手が止まり、僕たちは終わりを迎えた……。
「やっと終わりました! 先輩、ありがとうございます。これで明日のテストは大丈夫そうです!」
「うん、やれる事はやったから後は本番でどれだけ点を稼げるかだね」
葉月ちゃんが大きく体を伸ばし、凝り固まった体を和らげていた。そう、僕たちは夕食が終わってから葉月ちゃんのテスト勉強を見てあげていたのだ。決してやましい事はしていませんよ?
どうやら明日から期末テストが始まるらしのだが、葉月ちゃんはまったく勉強をしていなかったのである。赤点を取ってしまったら補習とかがあるらしく、それだけは回避したいと僕に泣きついて来たのだ。僕としても葉月ちゃんに赤点を取らせる訳にも行かないので、出来る範囲で教えてあげました。
まだ僕たちの部屋にソファーやテーブルが無いので、元の葉月ちゃんのお部屋で勉強です。この部屋は6畳くらいの子供部屋という感じだが、葉月ちゃんの良い匂いが漂っている。正直言ってこの部屋に居るだけでドキドキしてしまう。
「ふふ……やっぱり先輩の教え方は上手です。先生になれるかもしれませんよ?」
「先生も楽しそうだね。小学校の先生ならやってみたいかも。でも先生は僕には出来そうにないなー」
入学したばかりの可愛い小学生に勉強を教える風景を想像する。小っちゃい子供たちが元気に遊びまわり、みんなで仲良く勉強する風景だ。でも、きっとこれは理想であり、実際に先生という職業に就いたら大変なのだろう……。
「そうですか、残念です……」
「でも子供が出来たら勉強とか教えてあげたいね。きっと楽しいと思うんだ」
自分の子供というものが想像出来ないが、女の子だったら小さい葉月ちゃんみたいな可愛い子だろう。小っちゃい葉月ちゃんが僕の周りを歩き回り、パパって呼んでくれるのだ。想像してみたらニヤニヤしてしまう。
「いま先輩が小さくなったような男の子を想像しちゃいました。きっと可愛いですね!」
「僕も葉月ちゃんが小さくなったような女の子を想像しちゃったよ。ニヤニヤしちゃうね!」
どうやら葉月ちゃんも同じような事を考えていたようだ。男の子でも女の子でも、きっと葉月ちゃんに似て可愛い子になると思う。あまり僕に似なくて良いかな。
こんな話をしたからだろうか、葉月ちゃんが自然と僕に抱き着いてきた。
「……先輩、今日はどんな格好でして欲しいですか?」
「ど、どんな格好?」
「そうです。先輩の好きなエッチなメイド服ですか? それとも制服が良いですか?」
「……っ!?」
エッチなメイド服も捨てがたい。あの半分くらいしか隠せてない胸のところとか、チラっと見えるパンツと絶対領域、もう非の打ち所がない完全装備だ。
だがしかし、制服も好きだ。葉月ちゃんの可愛さをそのまま味わえる至高の一品だ。葉月ちゃんが制服だと、僕も高校時代に戻ったような感じがするのだ。
でも今の僕はそのどちらでも無いのだ!
「あの……昨日買ったベビードールが良いです……」
「ふふ……分かりました。じゃあご飯食べたら、楽しみにしてて下さいね。あ、そうだ!」
そう言って葉月ちゃんが部屋を出て行ってしまった。何だったのだろうか? でもあの黒くてスケスケのキャミソールワンピースのベビードールがエロいのだ。あれを着た葉月ちゃんを想像しただけで元気になれる。
しばらくすると葉月ちゃんが戻って来た。手には何か袋を持っている。なんだろう?
「先輩の好きなやつ選んで下さい」
そう言ってベッドの上にカラフルな下着がたくさん並べられました。この中から選ぶのか……。
「じゃ、じゃあこの黒いやつで……」
「へー、先輩はこの大事なところが全然隠れてない感じの下着が良いんですね~。しかもヒモパンツです」
「……うぅ」
葉月ちゃんがブラとパンツを持って見せびらかしてくる。そうです、僕はその防御力が皆無な感じのやつが好きなんです。
「じゃあ今夜を楽しみにしてて下さいね。あ、そうだ」
「ま、まだ何か?」
葉月ちゃんが僕の背後から抱き着いてきた。耳元に口を寄せ、甘い呼吸が僕の脳を刺激する。甘い匂いと甘い呼吸に、僕の心拍数は急上昇だ。
「今日のお風呂は別々に入りましょう。それで先輩だけ先に入ってベッドで待ってて下さい」
「う……」
耳元で舐めるように喋られると、クラクラしてしまう。更に葉月ちゃんが僕の胸と下半身を優しく撫でて来る。鼻血が出そうだ……。
「ちゃんと部屋を暗くして待ってて下さいね? 私がエッチなベビードールを着て部屋に行きますから……」
「は、はい……」
葉月ちゃんが僕の耳をペロペロしてくる。ペロペロされる度にぞわぞわと快感が駆け上がる。
「ふふ……今日はいかがわしいサービスみたいにしましょう。たくさんご奉仕しますね旦那様」
「ご、ゴクリ」
このまま葉月ちゃんを押し倒してしまいたいが我慢だ! 耐えるんだ!! 頑張って耐えていたら葉月ちゃんが離れてくれた。ホッとしたけど寂しくもある。
「そろそろ夕飯の準備して来ますから、今からイメージしておいてくださいね。あ、この部屋を出たらスタートですからね? 私たちはお互いに見えない振りしてご飯食べて、先輩はお風呂入って部屋で待ってて下さいね?」
「わ、分かりました」
何という事だ。この彼女の実家でイメージプレイをしようと言うのか!? 内容は、彼女の実家に風俗嬢を呼んでご奉仕して貰うという感じだろうか? やばい、ドキドキしてしまう!!
そして葉月ちゃんは部屋を出て行ってしまった。つまり僕は葉月ちゃんを居ないものとして扱い、さっさとご飯食べて風呂入って部屋で待ってろという事だろう。ふぅ、緊張してきた。
これからのプレイを色々と想像していたら、お義母さんから声が掛かった。よし、早くご飯食べて風呂入ろう。
◇
リビングに行くと葉月ちゃんとお義母さん、そしてお義父さんが揃っていた。久しぶりにお義父さんも居るのです。
「すいません、何もお手伝い出来ませんでした」
「良いのよ~、葉月ちゃんにお勉強教えて貰って助かったわ~」
「うむ、進学しないと決めてからめっきり勉強しなくなったからな」
「そんな事ないです。違う事を頑張ってたんです」
僕と葉月ちゃんが並んで座っているけれど、どちらからも目を合わせずに居ないものと思って過ごすのだ。いつもだったら自然とあ~んとかしているのだが、今日は何もない。不審に思われるかもしれない……。
「あ、薫くんこれ食べてみて、私の自信作なのよ~」
「いただきます!」
肉じゃがでした。ホクホクのジャガイモと豚肉が少し甘めの味付けで美味しいです。実家で食べる肉じゃがとはまた違った味がして、やっぱり家庭の味っていうのがあるんだなって思った。ちなみに実家のは醤油の味が濃い感じです。
「美味しいです! 幸せな味がします」
「あら良かったわ~。いっぱいあるからどんどん食べてね」
今日は肉じゃがの他に焼き魚です。アジかな? 大振りなアジが丸々1匹塩焼きになっててご飯が進みます。すごく美味しい。
でもいつもと違って僕と葉月ちゃんが会話してない様子を見て、お義母さんが心配そうに聞いて来ました。
「葉月ちゃん、もしかして薫くんと喧嘩したの?」
「そんな事ないですよ? 仲良しです」
「でも、今日は全然目も合わせてないし……」
「良いんです。気にしないでください」
やばい、空気が重くなってしまった。さすがにやばいと思ったのか、お義父さんが声を掛けてくれた。
「薫くん、悩みがあったら聞くよ? そうだ、今晩は男同士でゆっくりとお酒でも飲もうか?」
「いえ、大丈夫です! またの機会でお願いします……すみません」
やばい、お義父さんとお義母さんに心配を掛けてしまった。そもそもお風呂出るまでは今まで通りで良かったんじゃないのかな? 何か葉月ちゃんなりの拘りがあるのだろうか?
「……パパ、私心配だわ……」
「……ああ、でも少し様子を見よう……」
何やらお義父さんとお義母さんがコソコソと話をしている。よし急いで食べてお風呂に入ろう!
そうして僕は、かきこむようにご飯を食べ、逃げるようにお風呂へ入ってしまった。その様子を見て、更にお二人が心配そうにしていたのでした。
◇◇
急いでお風呂へ入り歯磨きをしっかりして、ベッドに正座をして待っている。ホテルの一室でエッチなお姉さんを待つ気分がしてきた! 呼んだことないから知らないけど、きっとこんな感じなんだと思う。
これから僕は、エッチなベビードールを着た葉月ちゃんとエッチをするのだ。そう考えるだけで、いつもの何十倍も興奮してしまう。部屋をうす暗くしているからか、更に気分が盛り上がる!
まだ来ないのだろうか、いつ来るのだろうか。そんな事を考えて時間をつぶしていると、どんどん興奮してきてしまう。廊下で少し物音がするだけでドキっとする。まさか葉月ちゃんはこれを狙って居たのか!?
正座をしたまま20分くらい待っていただろうか……。正座で待つ必要あったなかって思ったその時、ドアがノックされた!
「ど、どうぞ~」
いつの間にか僕の喉はカラカラになっていて、返事をするだけで精一杯だった。
「こんばんは! はづきです、宜しくお願いします♪」
「……っ!」
部屋に入って来た葉月ちゃんは、エッチなベビードール姿でした。大事なところが少ししか隠せていなくて、チラチラと見えてしまう。だがそれがいい。
髪を後頭部で髪留めでまとめていて、更にお化粧も色気の出るような濃い目になっている。いつもの葉月ちゃんと違う感じにもう堪りません!!
僕がベッドの上で緊張していると、横に座って来た。あぁ、良い香りがする。きっと僕を誘惑するフェロモンが出ているに違いない!
「ふふ……旦那様は緊張しちゃってるのかな? 緊張しないで良いですよ~」
「はぃ……」
葉月ちゃんの大きな胸に僕の顔が埋まってしまった。甘い匂いと葉月ちゃんの鼓動を感じ、幸せを感じてしまう。
「今日のコースは時間無制限の何でも有りコースです。つまり……はづきの全ては旦那様のものです。たくさん可愛がって下さいね?」
僕はもう我慢が出来なかった。葉月ちゃんを押し倒し、欲望のまま襲ってしまったのだ。今まで自制してきたものが、全て解放されてしまった。ごめん葉月ちゃん、僕はもうダメそうです……。
そして僕は、獣になった。
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