第22話 春泉お姉ちゃんの将来を考える

 あの出来事以来、春泉ちゃんは不安定になっていた。


 春泉「きょうもいいことなかった……生きててもしょうがない……」


 そっちばかりいってしまって戻ってくることがない。


 春泉「クスリはもらったけど、これからどうしよう……」


 もちろんお医者さんに出してもらったもの。さすがに一線はこえてない。


 春泉「これ、のみつづけなきゃいけないんだよね……」


 ハルミにできるかな……そんな不安さえよぎってしまう。


 春泉「ハルミはハルミのことを信じなきゃ……変われない、から……」


 いろいろ考えてどうしようもなくなったから、ちょっと横になった。


 春泉「このままでいいのかな……」


 やっぱりぐるぐるしてる。変わり映えしない日常にあきてるのかな。


 春泉「外にでるのもめんどくさい……なんでこうなったんだろ……」


 不思議と涙が出てくる。楽しかった日々はどこに……。


 春泉「早く元気になってみんなに会いたい……」


 なんとかその思いだけで乗り越えられることもありそうな気がした。


 春泉「みんなに会えなかったからかな……そうかもしれない……」


 白んだ頭で考えてる。やっぱり泣いちゃう。


 春泉「ぐすっ、つらいよぉ……」


 妹たちにも会えてない。元気にしてるかな。


 春泉「ハルミ、ずっとひとり……」


 しばらくこんな日が続いた。

 みんな忙しいから誰も心配なんてしてくれてない。そう思ってしまった。


 ♦


 さくら「お姉ちゃん……?」


 不思議と勘がはたらいて、連絡をとろうと決めた。

 わたしはいまパソコンの画面と向かい合って趣味の小説を書いている。


 さくら「なんか、とってもまずいことになってる気がする……」


 冷や汗とともに動く手先。パソコンからのメールだけど、気づいてくれるかな。


 さくら「あっ、返信あった」


 どれどれ……最近目が悪くなってきてる気がして、よくこらしてみる。


 さくら「んーと……ハルミは元気だよ、かぁ……」


 これだけでは信用できない。さらに返信を考える。


 さくら「『ほんとに? そっち行かなくていいかな?』っと……」


 これでメールが返ってくるかどうかもわからない。だけどわたしはそうしたいと思った。昔のお姉ちゃん、ちょっとやそっとじゃへこたれなかったもん。


 さくら「『ほんとに元気だから……』まだちょっと信用できないけど……」


 見極めが難しい。だけど不思議とその文面からあやしい感じはただよってこない。


 さくら「お姉ちゃん、わたしから見るとちょっとことばの表現がうまくないからわかりにくいけど、これきっと大丈夫だよね……」


 ぼんやりと考えていたのは、お姉ちゃんの将来のこと。


 さくら「もしお姉ちゃんに身寄りがいなくなったとして、お姉ちゃんしっかりやっていけるかな……」


 考えだすと不安になる。誰かいてくれるといいけど……。


 さくら「わたしがしっかりしなきゃいけないのかな……定期的に連絡しよ……」


 揺れている心をどこにおさめていいかわからず、わたしは寝ることにした。


 ♦


 春泉「眠れない……」


 あれこれ考えて眠ることができない。とりあえず目はつぶっておく。


 春泉「余計なこと考えちゃダメ……ハルミこんな子じゃなかった……」


 いくらあの頃から変わってるとはいえ、こんな現実受け入れたくない。


 春泉「でも、これがいまのハルミ……いつか変われるかな……」


 そうであることを願いつつ、ひたすら目をつぶり続ける。


 春泉「……トイレ」


 どうしても眠れない原因がそこにあったりする。


 春泉「十分あったかくして寝てるはずなのに……」


 まだ足りないのかも。それを考えだすとまた眠れなくなる。


 春泉「あぁっもう! ハルミしっかり寝たいのに!」


 ハルミには足りないものだらけ。そう思い出すとまた眠れなくなる。


 春泉「気にしないで生きられたらいいけど……ぜんぜんダメ……」


 身を縮こませて眠る。今度こそしっかり睡眠をとることができた。


 春泉「いつまで続くんだろう、これ……」


 ほんの数時間くらいだったけど。

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