第20話 世界のはじまり

 うみ「もしもし、瑞穂? なんだ、急に連絡してきて?」

 瑞穂「わたし、ついにわかっちゃったんです」

 うみ「何がだ?」

 瑞穂「世界の始まりについてです。最近そういうことを考えるのにハマってて、それでですね……光と音があったからだったんじゃないかって」

 うみ「あ、うん……もうちょっと勉強しようか……」


 確認のため調べることにした。やっぱり違う。


 うみ「いいか瑞穂? ビッグバンって知ってるよな?」

 瑞穂「ビッグバン、ですか? あのイギリスにある時計塔のことですよね?」

 うみ「それはビッグベンな。とにかく、だ。物質のほうなんだよ。わかるよな?」

 瑞穂「わかりました……わからないなりに調べてみます……」


 おいおい大丈夫かよこいつ……ってちょっと思ったけど、あたしも結構忘れてることあるかもな。


 うみ「ってそっちは知ってるのな……ま当然か」

 瑞穂「なんですか? わたしが物知りじゃないとでも言いたいんですか?」

 うみ「お前がそうとらえたいならどうぞ。あたしちょっと疲れててさ」

 瑞穂「そんなの言い訳になりませんよ。あやまってください」

 うみ「なんでちょっと傷ついてんだよ……こんなことで凹むお前だったか?」

 瑞穂「わたし変わったんです。田舎生活でその大変さを思い知りましたよ」

 うみ「それはこの前も聞いたような……」

 瑞穂「昔ながらのスタイルでやってましたからね。ほめてくださいっ?」

 うみ「よしよし、電話越しに撫でてやる」

 瑞穂「うれしいです……ってちがーう! これ電話ですよね?」

 うみ「お前がほめろって言ったからやったんだぞ……」

 瑞穂「できないことやろうとしたってしょうがないじゃないですか……茶番はさておき、今度いつ会えますか? またご一緒したいですね」

 うみ「そうだな、ちんちくりんなお前に会える日を楽しみにしてるぞ」

 瑞穂「ひとこと余計です……」

 うみ「そうか? あはは」

 瑞穂「なんで楽しそうなんですかね……」


 また世界がはじまろうとしている。

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