第18話 あざといふたり

 ゆい「せ~んぱいっ」


 懐かしい声がした。僕は夢でも見ているのだろうか。


 ゆい「ざ~こっ♡」


 なんだこの子。こんなに口悪かったかな。


 ゆい「ふふっ、最近はやりの罵倒する女の子ですよ~♡」


 やっぱり夢だ。いますぐほっぺたつねって確かめたい。


 ゆい「やっぱり先輩も、こういうの好きなんですか~?」


 ちょっとばかにされてるような気がする。身体を動かそうにもいうことがきかない。やっぱり夢かもしれない。


 ゆい「でも先輩見てるとぉ、ちょーっとそこまで尊敬できないっていうかぁ……」


 かわいい顔してえげつないこと言ってくる。この子モデル時代に見たことが……。


 ゆい「きっとおちんちんも、そこまでたくましくないんじゃないんですか?」


 この子からそんなことばが出てくるとも思えない。やっぱり夢か。


 ゆい「ふふっ……この夢がさめたら、またこうやってここで逢いましょうね」


 それだけを言い残し、僕は目が覚めた。


 進「未咲……」


 いた。僕のとなりに。


 進「僕は女の子に囲まれて生きてきたけど、やっぱりキミが一番だよ……」


 人によっては思うところがあるかもしれないけど、僕は本気でそんなことを思っていた。


 進「早く目覚めてくれ……したくてたまらないんだっ……」


 目覚めのキス。うまくいってない。


 進「こうなったら未咲ちゃんが目覚めるまで……いや、そんなこと考えちゃダメだ……冷静にいかないと……」


 言いつつ、身体のほうはどうしても前のめりだった。


 進「もうっ、キミが目覚めないのがいけないんだぞ……」


 僕が僕でなくなりそうでちょっと怖くなった。少し落ち着いて考える。


 進「はぁ、はぁ……やっぱり僕も男だったんだな……」


 これまでおさえてきたものが目の前にすべてぶつけられそうで、何かたいせつなものを壊してしまいそうな感覚におそわれてしまった。


 進「ごめん、未咲ちゃん……いくぞっ」


 胸をわしづかみにしたとたん、未咲ちゃんは目覚めてしまった。


 未咲「ひゃっ?!」

 進「あぁ。ごめん……やっぱり僕の考えてたことが間違いだったね……」

 未咲「えっ、えっ? 何が間違いなの? あっ……」


 気づいたときには胸がはだけてしまっていて、ちょっぴり恥ずかしくなった。思わず両腕で胸をかくして進くんにみられまいとした。


 未咲「もう、進くん……もしかして獣さんになっちゃったの?」

 進「言わないでくれ……ちょうど気にしてたところなのに……」

 未咲「いいんじゃないかな? ちゃんと男の子なんだなーって」

 進「そういう年でもなくなってきたけどね……」

 未咲「全然ぜんぜん、進くんまだまだ男の子って感じするし」

 進「ど、どこを見ながら言ってるのかな……」


 さわりたそうにしてる未咲ちゃんを必死に静止するので手いっぱいだった。


 進「ところでトイレ行っていいかな……もうもれちゃいそうで……」

 未咲「ここでしていいよ♡」

 進「ここでしていいって……子どもじゃないんだし……」

 未咲「いまだけ子どもになっちゃってもいいんだよ?」

 進「うん……そうしようかな」


 なんだかもう未咲ちゃんのペースについていくのも大変になり、した。


 未咲「その前に、自分のおっぱいさわって気持ちよくなったことある?」

 進「ないけど……」

 未咲「おっぱいさわるとね、もーっときもちよくなるんだって♡」

 進「そうなんだ、やってもらっていいかな……」

 未咲「うん、いいよ♪」


 そうして僕は服の上から、執拗にそこばっかりいじられた。


 進「いっ!」

 未咲「きゃっ……だいじょうぶ?」

 進「うん、ちょっとびっくりしただけだから……」

 未咲「続けるね?」


 いじられ続けていると、おなかのあたりからこみあげてくるものがあった。


 進「これ、もう間に合わないよ……こわいなぁっなんだか……」

 未咲「こわがらなくて大丈夫、だよ。ちゃんと出して? からだに毒だから……」


 素直にいうとおりしてくれて、わたしはほっとした。


 未咲「なんだかわたしたち、似たものどうしだね……」

 進「そのことばが聞けて、いままでのこと全部ゆるせそうな気がしたよ……」


 身体を押しつけられながら再びさわられて、僕はまた我慢できなかった。


 進「……やっぱりゆるすのやめた」

 未咲「えっ? えっ? わたしまたいけないことしちゃったの……?!」


 気づけばわたしの胸は進くんの強い思いに打ち負かされて揉みしだかれていた。


 未咲「あっ、あぁっ……急にもまれるのこわいっ……ヘンになっちゃう……」

 進「ヘンになっていいから、しばらく僕の言うとおりにしていてね……」

 未咲「だめっ、だめだめ……くるっ、きちゃうぅぅっ……」


 加減がちょうどよく、恐怖を覚えたのはどちらかというと反射的なものだった。


 未咲「んんっ、んーっ!」


 勢いのいい液体が噴きだしてきて、きれいなパジャマとパンツを汚していく。


 進「夢の続きを考えていたんだ。生意気な女の子が僕におしっこをかけてきてね」


 あぁ、進くんってとんでもない変態さんだったんだ……。


 進「それがたったいまイメージできたから、ちょっと再現しようかなって」


 えっ、これからわたし進くんにおしっこかけられちゃうの……?


 進「元モデルのおしっこだよ。さすがにブランドもプライドもないけどね」


 そう言った直後、いったいいつどこにそんなに溜めてたかわからないくらいのおしっこがわたしの顔面目掛けていきおいよく飛び込んできた。


 未咲「うぷっ……ちょっと進くん出しすぎ……やだっ……」


 ふしぎといやじゃなく、謎の興奮さえ覚えてきてしまう。身体が震えてるのがよくわかる。わたしは身をよじらせながら、次はいつ出るだろうと期待をしていた。


 未咲「へへっ……進くんってほんとにかわいい……」


 そのことばを口に出すと、我慢がおぼつかなくなってしまいそうですごかった。


 未咲「これでわたしがおもらししたら、進くんみたいな変態さんになっちゃう♡」


 進くんの視点になってみるとわたしの目は見えてないと思う。それくらいにクリーンにきめられてしまった。


 未咲「それでもいいか、も……あっあぁっ、あっあっ♡」


 身体がはねるたびに制御できなくなったものがわたしの手をあたためて、すぐ冷ましてしまう。


 未咲「もっと、もっともっともーっと出さなきゃ……進くんみたいにおかしくなれないよぉっ……」


 のろけの段階にきてしまった。誰かに知られたらきっと恨まれるかもしれない。


 未咲「おっぱい揉んでいーよ……おしっこまみれになってるわたしのおっぱい、いーっぱい揉みしだいていいから……」


 必死に求めるその声に、僕はどうしていいかわからなかった。


 未咲「ほら、その気がないならわたしが無理にでもそうするんだから……」


 まだ生きている心臓の脈さえ感じさせたかった。わたしたちはここにいるよって。


 未咲「さっきみたいに、おしっこ出させるぞーって気持ちでやって……?」

 進「いや、僕はそんなつもりじゃ……」


 変態はどっちだろう。


 未咲「だめ……?」

 進「うん、やるから……」


 その勢いに負けて、なるべくさっきのことを思い出してやってみる。


 未咲「んんーっ!」

 進「すごい、まるでおしっこの音だね……」

 未咲「おしっこじゃないもん……これ潮だよ?」

 進「べつにおしっことは言ってないじゃないか」

 未咲「わたしの言ってることが信じられないの……?」

 進「もはや僕にはどっちか区別がつかなくなってきたんだけど……」


 気づくと僕の下半身も冷えていて、またしたくなってきた。


 進「あの、今度こそ行っていい?」

 未咲「だーめ。わたしを満足させるまでトイレ行くの禁止っ」

 進「わかったって……」


 泣きそうになりながらわたしに奉仕してくれる進くん。ちょっとかわいそう。


 進「トイレ行きたいのに……もうやだ……」

 未咲「あっあっあっ、もうだめ、進くんごめん、わたしトイレ行く……」

 進「そうはさせるか!」


 こっちだって我慢してるのに……そう言いたくてたまらなそうだった。


 未咲「進くんやめて! 後ろから抱きついちゃだめっ、おなか押すのもだめっ、口の中に指いれていじくりまわすのも全部だめ、だから……」

 進「もう遅いんだよっ! 僕の気持ちをこんなにさせといて!」


 わたしのおしりに進くんのあれが……ちょっとあったかい。


 進「僕とおんなじタイミングでもらせっ! あの頃の思い出も全部未咲ちゃんのものになっていくんだからそれくらいのことしてくれよ!」

 未咲「おっぱいつままないでっ、それもおなかに響いちゃうからぁっ」


 ふにふにされているだけなのに、確実に効いていってるのがわかる。


 未咲「なんで、なんで……進くんおかしくなっちゃったの……?」

 進「どう考えてもおかしいのはそっちだよね……っ」


 この間にもわたしのおしりはどんどん濡れていく。けっこうやっちゃったかな。


 未咲「トイレ目の前に見えてるのに……いけないよぉっ」


 進くんはついにわたしの割れ目のところに指を添えはじめる。


 進「さて、今度は未咲ちゃんが漏らす番だね♪」

 未咲「でちゃうぅぅぅっ!」


 この状況をゆいちゃんが見てたとしたら、きっとこういってると思う。


 ゆい「なに仲睦まじくしてるんですかぁ~? わたしも混ぜてくださいっ」


 いじらしくスカートの中を見せてきたりとか、意味ありげなほほえみとか。そのどれもが僕の深いところを刺激して逃げたくなる。


 進「出せーーーっ、みさきーーーーーーっ!」


 はたから見れば雄犬の咆哮だった。さすがにお隣さんから苦情もらうくらいの。


 未咲「いいのっこれっ……やっぱりちょっとだめだよ……」


 揺れる不安のようなもの。進くんはやさしくなれていない。


 進「はぁはぁ……えっ、まだ漏らしてない……」

 未咲「いまだっ」


 隙をつかれてそこに向かわせてしまった。でも、それももう遅かった。


 未咲「あっあっ!」


 しゅおぉぉぉぉぉぉっ……。かつて異性に見せたことのないくらいの量がこんなところで出てしまった。責任とってもらわなきゃ。


 未咲「ぐすっ、進くんのばかぁ~~~っ!」


 すれ違いのようにも聞こえたけど、未咲ちゃんにかぎってそうだとは思いたくはない。もしこれで嫌われちゃったらどうしよう……そんな不安がよぎる。


 未咲「トイレに行きたい女の人をじゃまするなんて、進くんってやっぱり……」

 進「待ってくれ! これは僕もほんとに悪くて……」

 未咲「わかってる……わたしもどう考えていいかわかんなくなっちゃっただけ……進くんは何も悪くない……そんなのわかってる……けど……」


 誰かに見られてたら確実に痴話げんか認定されてるところ。それは避けたい。


 未咲「まだ家だったからそこまで恥ずかしくないけど……」


 これまでさんざんやってきたし、今回も失敗のひとつくらいに考えたい。


 未咲「でも、こんなのやっぱりおかしいよ……おしっこなんて普通にできればこんなに考えることもなかったのに……」


 戻れないところまできてしまったのかな。また戻れる日はくるのかな。


 未咲「ねぇ進くん、わたしこれからどうすればいいの……?」


 答えに悩む問いかけだった。ひとまず気持ちを落ち着かせたい。


 進「大丈夫、もうきょうみたいなことはしないから……」

 未咲「そうじゃなくて、いまのわたしの気持ち」

 進「そりゃ……女の子がやっちゃったんだから、その気持ちははかりしれないような……」

 未咲「~~~~、進くんも女の子になっちゃえばいいのに……」

 進「くれぐれも爆発しないでくれ……このとおり……」


 姿勢をいちばん低くして両手をあわせていた。さすがにやりすぎたかもしれない。


 未咲「……やっとちょっと落ち着いたかも」

 進「これ、ゴールした後の立場どうなってるんだろう……」

 未咲「もちろん下……」

 進「やめてくれ! これからちゃんと取り返すから!」


 拗ねたところをついかわいいなんて思ってしまった。僕はもう終わりだ……。


 未咲「冗談で済ませたいんだけど、まずはこの恥ずかしさと向き合うね……?」

 進「そうしてくれ……」


 対等な関係でありたいと思いつつ、それが叶うのは難しそうだと思ってしまう。


 未咲「進くんのが小さすぎて男の子だったの忘れてた……」

 進「言うなっ!」


 すかさず隠してよくわからない身の危険を回避する。ちょっと傷つく。


 進「僕だって完璧じゃないんだ! 未咲ちゃんだって知ってたはずだよね?!」

 未咲「そこは期待してたんだけどなぁ……でもしかたないよね、人間だし」

 進「はぁ……もう僕これからキミと過ごしていく自信がない……」

 未咲「元気出してっ。おっぱい揉ませてあげるから」

 進「ほどよいサイズで助かるよ……」

 未咲「何それ、進くんはおっきいのが好きなの?」

 進「そんなこと言ってない!」

 未咲「……揉ませてあげないよ?」

 進「ごめんなさい……」

 未咲「はい、どーぞ♡」

 進「負けました……ありがたく揉ませてもらいます……」

 未咲「敬語になっちゃう進くんもかわいい……どんどん好きになっちゃう♪」

 進「こんな形で好きになりたくなかった……」


 どう考えてもこの時点で上下関係が決まっちゃった気がしてならない。


 進「尻に敷かれちゃう……おしごと探したくない……」


 その夜から進くんは布団にもぐってひたすら自省の日々になっていった。その間にもわたしは献身的に進くんのために職を探してあげることにしていた。


 未咲「ねぇ進くんこういうお仕事どう? 『みんなが落ち着いた時間に稼げる! ちょーっとだけハードなお仕事です!』」

 進「もうやめてくれぇ!」


 さんざんこりごりな目にあって、とうとうほんとに僕は立ち直れなさそう……。

 お隣さんからは何も言われなかったけど、さすがにこれからは気をつけたい。

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