第4話 学校
セラピムがオレをつれていった学校とは、上空から見えた螺旋状の建物だった。
――バベルの塔。
むかし西洋絵画史の授業でも見た記憶があった。
天に届くほどではなく、螺旋を描きながら6層まで重なっていた。セラピムはまず、その5Fへオレを案内するという。最上級生が通うクラスがあるそうだ。
建物の周囲を歩き外壁の間に直接乗り口があるエレベーターに乗り込むと自然に上昇しはじめた。なんだかさわやかな風といい香りがただようのを感じる。5Fまで直通のようだった。
セラピムの後をついて机のあいだを歩く。
真剣に何やらディスカッションしている生徒、休み時間のように談笑している生徒など、それぞれだが、ここに来るまえ下界?にいた者たちとは違い、みんな上質そうな生地に装飾をほどこした衣服をまとっていた。
ふと自分のボロ切れ(服)が気になったが、誰もオレをジロジロ見るものはいなかった。人としてもレベルが上だということか、、
「彼ら彼女らにオマエは映っていない」
「…え?」
「存在していないんだ。彼ら彼女らの世界に、オマエは存在していない」
セラピムはオレの手をとり、ゆっくりと近くにいる鈴木 伸之風の男と話す、色気を全開にした芦田愛菜のような女の背中の方へ引っ張っていく。
オレは本能的に、いや心の底に眠る、つもりつもった常識によって身をさけようとした。それでもセルピムのオレをひく手は微動だにしない。やばい、、
「……あれ、、」
すり抜けた。
どういう事、、?
オレはやや混乱しながら教室を動きまわり、壁沿いにあったオブジェに右フックを放ってみた。
「ヴッッツ!」
痛い!物理的に痛い‼
透明人間になったわけではなかった、、
「バカだなコイツ、、」(セラピム)
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