第16話 お出掛けデート(準備編)①

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 最近、友理奈ちゃんの様子が変です。

 私・洞泉江奈には女の直感で分かるんです!


 ①「死の宣刻」回避

 まず、最近、祐二くんの「死の宣刻」のキスを私たちにさせてくれません。

 い、いや、別にしたいってわけじゃないのよ! で、でもね、偶然! そう! 偶然よ! そして、たまたまってことがあるじゃない? え? 同じこと言ってるって? き、気にしないで……。

 祐二は7日に一度、「死の宣刻」という魂魄が剥離する現象が起こる。

 これを止めるには、私や友理奈ちゃんのような祐二くんと前世で深い関係があり、現世に転生した女の子のエロいキスが必要となる。

 私たちの唾液を祐二くんの体液と混ぜる必要があるのだ。

 この間も―――――、



 ねっとりとした唾液が祐二くんと友理奈ちゃんの間に糸を作る。

 祐二くんは覚醒させられたばかりでふわふわとしている様子。


「友理奈……ありがとうな……」

「大丈夫よ。たとえ、『死の宣刻』であっても、キスするのは嬉しいから……」

「俺も……」

「もう一回する? ここ、誰にも見られてないから……」

「……うん……」


 祐二くんがそう頷くと、祐二くんは友理奈ちゃんの頬にそっと手を添えて、彼女の唇に再び重ねる。

 んちゅ……くちゅ……ちゅぱ……

 いやらしい音を響かせながら、キスをしている。て、私が見てるんですけど!?

 キスを終えると、友理奈ちゃんは私たちの前では見せたことのない、蕩けた顔をしていた。

 あ、あれがメス顔―――!?

 もう、友理奈ちゃんは祐二くんに身も心も捧げる準備は万端なのね!

 それを期待するかのように、


「早く呪いがなくなって、私の初めてをあなたに捧げたいな……」


 思わず私は鼻血を出してその場で倒れてしまいそうになる。

 ゆ、友理奈ちゃん!? い、いつの間にそんなエッチな女の子になってしまったの!?



 こんな感じで、最近はこの日になると必ず友理奈ちゃんは祐二くんの近くにいて、「死の宣刻」が起こるとすぐにキスをして回避しているようです。

 それはまるでストーキングのような感じで、コソコソとついているのですが、周囲の人には別に怪しまれているわけではないようです。

 でも、私たち転生組にはバレバレです!


 ②休日前・休日の行動(家)

 それに友理奈ちゃんは、祐二くんの彼女になってからは、行動がすごく積極的です。

 金曜日の夜から土曜日・日曜日にかけて、必ず祐二くんの部屋で一緒に寝ています。

 最初のころは、みんなが寝静まってから、祐二くんの部屋に忍び込んでいたようですが、そのころから私は気づいています。

 だって、友理奈ちゃんの隣が私の部屋だから……。

 でも、最近はすでに夜の時間から堂々と祐二くんの部屋に入っていきます。


「ね、ねえ……今日も、寝る前にマッサージしてくれないかな?」

「え? うん。いいよ」


 祐二くんは何事もないように対応しているけれど、友理奈ちゃんは顔を真っ赤にさせて、モジモジさせているものだから、もうバレバレです。

 こんな感じで就寝時間前になると、祐二くんに急に甘えだすんです! 私たち同居者は一体何を見せられているのでしょうか……。

 以前、こっそりと祐二くんの部屋に忍び込んで、隠れて様子をうかがったことがあるんだけど、その時のイチャイチャ具合は尋常ではありませんでした。


「ねえ、今日もぎゅっとして?」

「本当、友理奈は甘えすぎじゃないか?」

「いいじゃない……。私、彼女なんだからさぁ……」

「抱きしめるだけじゃないだろ?」

「当たり前じゃない……。一週間分、甘えさせてもらうんだから……」

「一週間、ちゃんと毎日キスしているだろ?」

「あれだけじゃ足りないのぉ……」


 友理奈ちゃんは甘えながら、祐二を抱きしめる。

 て、ちょっと待って!? どうして友理奈ちゃん、パジャマがはだけているの!?


「い、一週間、呪いのせいで体が疼いているんだから、ちゃんと面倒見てよね……」

「……お前、もう、こんなになってるのかよ……」

「んんっ♡ だ、ダメ……。そこ敏感になってるんだから……」

「友理奈はすごく素直に反応するもんな」

「こ、これは、呪いの所為なの!」

「でも、キスするだけで、下着が使い物にならないのはどうかと思うぞ」

「……もう……エッチだよ……」


 友理奈ちゃんは身体をクネクネと動かしている。

 こ、これはエッチが始まるんだわ! まさか、毎週行われているマッサージってこれ!?

 その後、あの気性が荒そうな友理奈ちゃんが、祐二くんに色々と甘えたり、おねだりしたり、そして何度も何度もキスをしている姿は驚きしかなかった。

 朝、少し顔を赤らめてリビングに入ってきた友理奈ちゃんと私は目が合わせられなくていた。

 もしかして、私があの部屋に隠れていたことに気づかれていながら、あんな姿をみせたというのだろうか……。

 でも、それもあり得そうで私は何も言えなくなってしまった。


 ③ツンデレがすごい

 家ではあんなにべたべたしているのに、学校ではまだお付き合いしていることすら明かしていない。

 別にそれはいいのだけれど、問題はそこではない。

 学校でも、みんなの前では祐二くんを厳しめの言葉で罵倒したりするにも関わらず、昼休みになると二人揃って消えます。

 クラスのみんなは何も気にしてないみたいだけれど、私にはわかります。

 こっそりと後をつけたら、屋上で待ち伏せして二人で昼食をとって、時間の限りイチャイチャしてるって……。

 いつかバレるんじゃないかとか考えないのかしら……。

 とにかく、学園の子たちは友理奈ちゃんのこの変化に関して知らないみたいだけど、本当に入学してきたころから考えると、この3か月で劇的に変化してしまった。

 先日の期末テストも一点差で友理奈ちゃんは祐二くんに負けた。

 悔しそうに涙を流しながら、その場を後にした彼女だったが、人目のつかないところで、祐二くんを抱きしめて、泣いていた。


「こ、今度からは私も勉強会に参加させなさいよね」

「えー? それしたら抜かれるじゃん」

「うるさい! うるさい! これはライバルとしてじゃなくて、彼女からのお願い……。祐二は彼女からのお願い聞けないの?」

「……わかったよ。その代わり、勉強会中は甘えてくるなよ……。江奈もいるんだから……」

「分かってる……。だから、今、甘える……」


 そういうと、友理奈ちゃんは少し背伸びをして、祐二くんの唇に自身の唇を重ねた。

 私も祐二くんとキスしたいのにぃぃぃぃぃぃぃ!

 何にかが私の中でメラメラと燃え盛り始めたのに気付く。



 と、まあ、こんな感じで、最近はいつになく家では、二人のイチャラブ具合が加速しているのだ。

 が、そんなことを思いふけっている私の目の前で、瞳に涙を浮かべながら、私に頭を下げている女がいる。

 何ともしおらしいではないか……なんて思ってはいけない。

 だって、それこそが、祐二くんの恋人である摩耶友理奈本人なのだから……。


「お願い! 私に色々と教えてほしいの!」


 私は頭を掻きながら、「あ……はい。まあ、いいですよ」と答えるしかなかったのである。

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