第4話 ラッキースケベで命が救われる勇者。②
2
あたしは部屋に戻ると、ベッドに飛び込み、枕を抱きしめて足をバタバタとしてしまった。
まさかの祐二からデートの誘いを受けるなんて―――!
「まあ、教室での出来事は何だかムシャクシャしちゃったけどさ……」
もちろん、摩耶さんと祐二がキスをしていたことだ。
思い出すだけで何だか無性に腹が立ってくる。
「て、やっぱりあたし、祐二のことが好きなんだな……」
あたしは仰向けになり、天井を見つめる。
何の変哲もない天井を見つめていると、再び放課後の教室で見たシーンを思い出してしまう。
あたしは、自分の唇を指でなぞり、
「あたしと一緒の時に『あれ』起こらないかな……」
その時、はっと我に返る。
「いやいや、ダメじゃん! あれは祐二が死んじゃう可能性があるんだから! そんな起こって欲しいなんて思っちゃダメ!」
私は自分に言い聞かせるように言った。
でも、あの告白したときにキスをした唇の感触を忘れるはずがない。
自分にとっても初めてのキスだったのだから。
勇気を振り絞って、祐二にしたときのあの感触を―――。
じゃなくて……、別のことを考えよう。あたしは深呼吸をして、放課後のあとのことを考える。
食堂で祐二がケーキと紅茶を奢ってくれた。
もしかしたら、気を使ってくれていたのかもしれない。
他愛のない会話だったけれど、凄く幸せな時間だった。
久々に祐二と二人きりになれた。
それだけであたしにとっては、満足してしまえるほど、あたしは祐二という人間に飢えていたのだと気づく。
「はぁ……祐二ぃ……」
祐二と一緒に会話したこと―――。
祐二に頭を撫でてもらったこと―――。
そして、週末にデートに誘ってもらったこと―――。
嬉しくて、好き過ぎて、ため息しか出ない……。
考えれば考えるほど、身体が熱くなってくる……。
て、何で?
何だか自分が自分でないような感覚に襲われてしまう。
ボーッとしてきて、そして、何だか気持ちが高ぶってくる。
「……祐二とエッチがしたい……」
ボソッと呟いた言葉に、自分自身、唖然としてしまう。
「えぇっ!? 今、何を言っちゃったの、あたしは!?」
ここに優紀がいなくて良かった。
もしも、いてたなら、間違いなく優紀に「何をバカなことを口走っているの?」と非難されているところだった。
今は優紀がいない。
あたしは思わず一人であることをいいことに、指で下着をなぞる。
ピクピクピクンッ!!!
身体の火照りに導かれるように感度良好になっていたこともあって、有り得ないくらいの快感が脳を刺激してくる。
あたしは我慢が出来る状態ではなかった。
「……祐二ぃ……お願い……シて欲しい……」
あたしは淫れた気持ちを押さえつけることもできず、
今日一番の快感が押し寄せ、大きく身体を仰け反らせて、大きく震えた。
「……はぁはぁはぁ……」
息が乱れて、ボーッとする。
まさか、好きな人を思いながらの自慰がこんなに気持ちいいなんて……。
感情の高まりに流されてシてしまったが、後悔なんて全くなかった。
何だか、自分自身、大人の階段をひとつ上がれた、そんな気持ちの方が大きかった。
「……間違いないよ……。あたしは祐二のことがやっぱり好きなんだ……」
あたしは息を整えつつ、自分の指を見つめた。
自分の気持ちに素直になった結果、濡れた指を――――。
3
「私って何て大胆なことしちゃったんだろう……」
私はそっと自身の唇を指でなぞる。
別に何かが付いているわけではないのだが、神楽の唇の感触が蘇ってしまう。
そして、再び私は彼を救うためとはいえ、舌を絡ませてキスをしてしまったのだ。
濃厚な唾液を交えるエッチなキスを――――。
迎えの車に乗り込み、今はちょうどお屋敷に向かっているところ。
いつもは無表情で後部座席の運転席の後ろに陣取っている私にとっては、にやけを抑えるのも難しい。
とはいえ、こんなところでニヤニヤしていれば、当然運転手にバレてしまうので、口元を震えているのを何とか窓の外を見て誤魔化している。
が、呪いは的確に私の身体に変化をもたらす。
……くちゅ……
「――――――!?」
何やら下着が濡れたような感覚がはしる。
しまった!
今、思いっきり神楽のことを考えていた。
神楽とのキスを脳内で繰り返し再生してしまっていた……。
と、なれば私の身体に変化が起こることは当然だ。
私は「
マズイ、マズイ、マズ過ぎる!!!
口から熱い吐息が漏れそうになる……。
私はすぐさま、鞄からハンカチを取り出し、口に当てる。
「おや? 友理奈お嬢様、どうかなさいましたか?」
「……いいえ。問題ありません。初めての学校ということもあり、疲れが出てしまったのかもしれません」
疲れどころか、下半身からはエッチな粘液が出てしまってるのよ!
と、さすがに言えるわけでもなく、私は足をモジモジさせながら、呼吸を整える。
「そうですか……。新しいご学友はお出来になられましたかな?」
「ええ、早速、クラスメイトの女子生徒から歓迎を受けましたわ。お昼もご一緒しましたの」
女子生徒どころか、運命の人とも出会えちゃった♡ なんてこんなところで言ったら、間違いなく父親に告げ口されて、勘当されるのがオチだ。
そんな軽い発言一切しないように私は目元のみはキリッとした表情で居続ける。
が、無情にも下着に作られていくシミの面積は拡がる一方だ。
ヌルヌルしていて気持ち悪い一方で、敏感なところがムズムズし始めていて、局部を直接触れたいという気持ちが理性に対して押し気味で攻めてくる。
何も触れてもいないのに、神楽を思うだけでこんな気持ちにさせるなんて、この「呪い」は反則だ。
神楽の幼馴染の江奈って子はどうしているのだろう?
まさか、あの元気いっぱいで明るさが取り柄のような女の子が、頭を真っ白にして自慰にふけるなんてことがありえるのだろうか……。
想像できない……。
いや、もしかすると、一人で神楽の名前を叫びながらなんてことも……。
て、今はそんなことを考えてはいけない。
考えるからこそ、私の下半身も疼いてしまっているのだから……。
「杉本さん、家まであとどのくらいですか?」
「はい。あと5分少々で到着します。どうかなさいましたか?」
「できれば、少し急いでいただけると助かります。そ、その……お花を摘みたいので……」
「かしこまりました。では、少し急がせていただきます」
杉本さん(運転手)は言うや否や、アクセルを少し踏みこみ、華麗なハンドル捌きを見せてくれる。
若干、振動が増した気もしないでもないが、その辺は高級車であるが故、アブソーバーが衝撃を吸収してくれる。
杉本さんが運転に集中しているのをいいことに、私は少し局部に触れようとする。
と、そのタイミングで車は交差点を右折する。
少しのつもりがガッツリと押してしまう。
「ひぃうっ!?」
脳にまで一気に快感が突き上げられ、思わず声を出してしまう。
「し、失礼しました!」
「え? あ……。だ、大丈夫ですよ。ちょっと
思わずエッチなことをしようとしているのがバレたのかと思い、私は顔を真っ赤にするが、杉本さんには何とかバレてはいなかったようで、そのあとも運転を続けている。
マジで今のはヤバかった……。
いや、バレるとかの以前の問題であった。
局部への刺激による脳に突き上げてくる衝撃のことだ。
冷や汗が垂れてきて、私は慌ててハンカチで拭う。
次に触れようとするタイミングのないまま、お屋敷に車は到着する。
私は杉本さんに「ありがとう!」とだけ言い残して、自室の近くのトイレに駆け込む。
スカートをたくし上げ、そっと下着を下ろすと、恥ずかしさで顔を覆ってしまいたくなった。
それよりもキュンキュンと疼くことを抑えたい方が強かった。
私は人生で初めて指でシてみた――――。
結論から言うと、突き上げる快感に満足しつつ、脱力してしまっていうことの利かない身体をこの後どうすべきか、ということに悩まされてしまった。
「……こんなの続いたら本気でヤバいんだけど……。家に帰ってくるまで耐えられるように努力しなきゃ……」
そう。私は神楽のことが好きだと思う。
でも、私は摩耶家の令嬢でもあるのだから、学校でそれがバレないようにしないと……。
その時、ふっと江奈の顔を思い出す。
「だけど、あの子には負けたくないんだから……」
私はその時、ひとつの決意をした。
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