夜空にだけ咲く花―②

じゅ〜

周りにお肉の焼けていく音と匂いが広がる。


「やっぱり海に来たんだから夜はBBQだよね〜。ほら、いろはちゃんも食べな。」


そう言いながらあかりさんはお皿にお肉と野菜を盛り付けていく。

昼間で相当仲良くなったのかお互い下の名前で呼ぶようになっていた。


「ありがとう、あかりちゃん。でもそんなに貰って大丈夫なの?冬弥くんたちの分無くならない?」

「大丈夫だよ。まだまだたくさんお肉はあるんだから。」

「そうだよ望月さん、まだあるからたくさん食べて。」

「冬弥くんがそう言うならいただきます。」


そう言ってお肉を食べると笑顔で美味しいと言って、他のお肉にも箸をのばしていた。

食べ終わって片付けをしていると望月さんの姿が見てなかった。


「ねぇ、望月さんどこに行ったか知らない?」

「いろはちゃんならお肉食べすぎたからって少し散歩に行ったよー。気になるなら行ってこれば。片付けは私たちがやっとくから。」

「ありがとう。そうさせて貰うよ。あとはお願いねー。」


そう言うと僕はすぐに望月さんのもとに向かった。

少しの間探していると、望月さんは海の近くにあった公園に座っていた。


「ここに居たんだ。隣いい?」


話しかけると驚いたようにしてこっちを向いた。


「なんだ、冬弥くんか。」


そう言うのを聞いて僕は隣に座った。


「今日は楽しかった?」

「うん、楽しかった。」

「それなら良かった。」

「私ね、転校してくる前までは、友達なんていなかったし、外に出て遊ぶことも無くて、ただ自分の部屋で一日中本を読んだりして過ごしてたの。

でもね、今日こうやってみんなで海に来て、初めて冬弥くん以外のクラスの友達ができて、みんなで遊んで、ご飯を食べたりしてすごく楽しかったの。

だから冬弥くん、今日は連れてきてくれてありがとう。」


そう言って望月さんは笑った。


「どういたしまして。

僕も今日は楽しかったよ、ありがとう。」


それからは、今日の思い出を色々話して、最後にまたどこかに遊びに行く約束をして、みんなの所に戻った。



━━━2日後━━━


「ねぇ、今度隣町で夏祭りがあるんだけど、一緒に行かない?」


美術室で先日行った海の絵をいつものように望月さんと話しながら描いていた。


「夏祭りか〜、高校に入ってから行ってないかもな〜。」

「なら行こうよ!決まりね!」

「わかったよ。

それよりあとちょっとで完成しそうだよ。」

「おっ本当?!

楽しみだな〜。」

「わるいけど、そこの絵の具取ってくれる?」


望月さんは鼻歌を歌いながら絵の具を取ってくれた。鼻歌を歌っているあたりそうとう楽しみなんだろう。


「はい、描き終わったよ。どうかな?」

「綺麗〜!あっ、これ私でしょ!」

「そうだよ、よくわかったね。」

「ありがとう。これずっと大切にする。」


そう言って望月さんはニコッと笑った。

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