夜空にだけ咲く花―①

「あのさー、なんで夏休みまで学校来て絵を描いてるの?

家で描けばいいじゃん。」

「家だと妹がうるさいんだよ」

「えっ!

冬弥くん妹いるの!?」


せっかく集中して描いていたのに、望月さんがせまってきた。


「いるけどそれがどうしたの。

というかちょっと離れてよ。」


そう言いながら僕は望月さんから離れる。


「いや、なんか意外だなーって。

ねぇ、今度会わせてよ。」

「そのうちね」


僕は望月さんの話に相槌を打ちながら絵の続きを描く。


「冬弥くんってさー、夏休みは絵を描く以外に予定はないの?」


ふとそんなことを聞いてきた。


「予定かー、秋斗達と海に行くくらいかなー。」

「海行くの!いいなー。

それって私も行っていい?」


望月さんが目を輝かせて聞いてきた。


「別に構わないけど」

「やったー!

そうなったら色々準備しなきゃね。」

「それじゃ、日時とか送りたいから連絡先教えてよ。」


そう言いながら僕は望月さんにスマホ画面を見せる。


「いいよー。

これでよし!」


それと同時にスタンプが送られてきた。


「それじゃ、日時とかわかったら連絡するね。」

「うん、よろしく」


それからは僕の絵が完成するまで話ながら鉛筆を走らせた。


「そういえば、冬弥くんってお題とか出したら描いてくれる?」


描き終わるとそんなことを聞いてきた。


「別に描けるけど、なんで?」

「なら今度海をお題に描いてよ。」


目を輝かせて望月さんがそんなことを言う。


「わかったよ、今度描くから。」

「やったー」


――――――――――――――――――――



「海だー!」


望月さん達が海ではしゃいでいる中、僕は秋斗と近くのコンビニに買い出しに来ていた。


「おい、なんで望月さんがここにいるんだよ」

「いや、友達誘うって言ったじゃん」

「それは聞いたけど、まさか望月さんとは思わないだろ。

てかなんで、お前が望月さんと仲いいんだよ。

もしかして付き合ってんのか。」

「そんなんじゃないよ。

望月さんが転校してくる前に色々あったんだよ。」

「色々ってなんだよ。」


秋斗がしつこく聞いてきたので、適当に返事をする。

そうして買う物も買ったので海に戻る。

するとみんなはもう、遊んでいたので僕と秋斗も水着に着替えてみんなの所に戻った。


「おかえりー。

頼んだ物買って来てくれた。」


みんなの所に戻るとすぐにあかりさんが駆け寄ってきた。


「買ってきたよ。ほらよ。」


そう言いながら秋斗は持っていた袋をあかりさんに渡した。


「そういえば望月さんは?」

「望月さんならあそこで待ってるよ。

なになに、やっぱり気になっちゃう?」


あかりさんがニヤニヤしながら聞いてくる。


「違うから!」


そう言うとあかりさんは、ニヤニヤしながら望月さんの所へ戻ってった。

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