氷室葦吹のガタガタバレンタイン☆
「葦吹、あなたね…模試が近いっていうのに風邪をこじらせるなんて。将来これが商談の日だったらどうするの?!塾の先生にだってたくさんご支援いただいているのよ!!!ほんっとうに……」
母の怒号が飛ぶ。無理もない、最近は冷え込んでいるのに薄着で出かけすぎた気がする。昨日の勇さんとの予定もキャンセルになってしまった。せっかく二人の休みが被ったのだから柚さんのところで甘いものでも…と話していたところだった。
「ごめん…げほっ、ごほ…」
「!あ、あぁ。私ったら…ごめんね。葦吹、いま何か体にいいものを買い出ししてくるから、とりあえず水分を多めにね、あとは少し食べられそうだったらゼリーとか食べてしまってね…ここに置いておくから。何かあったら連絡するのよ?」
「…わかった…」
のどが痛む…体の節々がきしんで、視界がぐらつく。
「…げほっ、ふっ、…」
「スマホ、なってる…」
よく知れた着信音、ボタンを押すが声が出ない。
苦しい、眠たい、しんどい…息が…
「会いたい…」
「わかった」
_________
「ん、……」
冷たい手の感触が額に落ちてくる
「葦吹くん、こんばんわ」
「!!げほっ!!う‘‘、え…」
「葦吹、ちょうどそこの通りで七ヶ扇さんとあってね…色々と差し入れをいただいたの、ふふふ、すみません。うちの子のために…」
母の態度が明らかに違うが…今は勇さんが近くにいてくれるだけでうれしかった。
そのあと母は部屋を出た。勇さんにお茶なりなんなり入れてくるのだろう。
勇さんの顔見て落ち着いたのか、また少し眠くなった…。
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