第2話

   

 ウーウーとサイレンが鳴っていました。

 緊急警報です!

「早く逃げろ! ダムが決壊するぞ!」

「きゃー」

「わー」

 大人も子供も騒ぎ始めました。

 仕事も学校もお休みになります。


「さあ、みんな急いで!」

 小学校では、先生の指示に従って、子供たちがビシッと並んで避難していました。毎年の避難訓練の成果を見せる時です。

 子供たちは高台へと逃げ出して、そこで親たちと合流しました。

「あれを見て!」

 ダム湖の水は、泥みたいな茶色になっていました。

 浮かんでいるのか沈んでいるのか、ゴロゴロしたものも見えています。


 それらが全部、大きな手で掻き回されるようにして、白い堤防へ向かっていきました。

 しっかりと固められたダムの堤防です。でも見た目ほど頑丈ではありません。茶色の勢いは防ぎきれず、さらに、空から降りてきた銀色がとどめとなって……。

   

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