第3話 十二時
食事をとり終わり、食器を片付け私はお風呂に入る。ちなみに、修君はすでに私がここに来る前に入っていた。だらだらと話していたら、時刻は十一時を回っていた。
湯船につかりながら、これからのことを考える。
この生活いつまで続くんだろう。修君は一週間くらいって言っていたけど。私は大学の単位は足りているし、大丈夫だけど、修君は大丈夫かな。
「りさー。ここにタオル置いとくよ。」
「ありがとー。」
「りさ、ごめんね。僕のせいで。大学とかもあるのに。大変だよね。」
確かにここまで一時間以上かかる。でも、修君は大切なことをわかっていないみたい。
「大丈夫だよ。それにね。私が力になりたいんだよ。修君は頭もよくて何でもできるから。こんな時くらい頼ってよ。」
ちょっとクサかったかな。
「そっか。そうだよね。うん。ありがと。愛してる。」
「私も。」
その言葉だけでなんでもしてあげたくなるんだから、私ってちょろいな。
湯船に顔をうずめながら一人ににやけてしまう。
お風呂から出ると、机は隅に寄せられて布団が一枚敷かれていた。修君が布団の隅に座っていた。
「りさ、布団一枚しかないけど、一緒で大丈夫?」
修君の顔が少し赤い。たぶん私もだ。
「うん。電気少し暗くするよ。」
蛍光灯を豆電球にして、修君の隣に行く。
どちらかともなく、キスをする。
「りさ、愛してる。」
「うん。私も。」
いつもの言葉を口にして、もう一度口づけをする。そのまま修君が私を押し倒す。
この時間だけはいつもより少し強引な感じなんだよね。それもいいんだけど。
私の服のボタンが外され、控えめな胸があらわになる。
修君がもう一度キスをしながら右手で胸を優しく愛撫する。
首に触れる左手が心地よい。
右手が少しずつ下に伸びる。その手は少しそこに触れる。
「ん。」
少し声が漏れる。いまだに恥ずかしい。
そのままやさしく愛撫される。私の手も自然と彼のものえと手が伸びる。
ちいさな部屋で、二人の息遣いだけが響く。
「そろそろいいかな。」
「うん。きて。修君。」
修君が少しずつ私の中に入ってくる。最初は痛かったこれも、今では痛くない。
完全に入ってからもすぐには動かない。ふたりで抱き合う。
「動いていい?」
「うん。」
「愛してる。」
いつものセリフ。でも、だからこそ、いつもより愛をこめて。
「うん。私も。愛してるよ。修君。」
修君の両手が私の首に触れる。
両手に力が籠められる。
「し、しゅう、くん?く、くるし。」
「愛しているよ。りさ。」
くるしい。修君が私の首を絞めている。どうして。
「愛してる。愛してる。愛してる。」
くるしい。どうして?なんで?
部屋の中には私のうめき声と暴れる音。そして修君の声が響く。
「愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。」
くるしい。どうして?
視界が暗くなっていく。絞める手をかきむしる。口からは泡とうめき声しか出ない。
意識が遠のく。
「愛してるよ。ずっと、ずっと前から。君を愛していた。」
私の中に彼が流れ込んでくる。波打って。温かく。
私の意識はそこで永遠に消えた。
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