星を3つまでしか贈れないのが残念、と思えたのはこれが初めて。

濃密で細かい描写、リアリティある設定に没入してしまった。私の稚拙な文章や小学生レベルの読解力では、相応しい感想を述べるのが難しく、それもまた悔しい。
カクヨムに限らず、今のウェブ小説投稿サイトでは、決してランキング入りを果たして「人気作」にはなれない作品だろう(賛辞)。だからこそ、このような作品を書いてしまえる作者の力量に感服してしまう。

作中に登場した「アスクレピオス」のような遠隔手術ロボが実在する事は以前から知っていたが、昨今では医師不足を補う為、AIが患者の容体を診断して手術を行うロボも開発されていると聞いた事がある(もちろん人間の医師が常にモニターしている)。画期的な発明だとは思うが、外部からのハッキングでAI手術ロボを乗っ取り、手術中の患者を人質に取ったり、事故に見せかけて殺害する、といった医療テロが行える余地も孕んでいる。それにロボットには医者としての信念や責任感は無く、ただプログラムに従って動くのみ。患者が助かろうが死のうが、それによって社会が混乱しようが、機械は何とも思わず、機械自体が責任を負う事もまた無い。

驚かされたのは、8話で主人公・長嶺がアルコール依存症の禁断症状に耐えかね、消毒液をラッパ飲みしたシーン。「え、あんなもの飲んで大丈夫なの!?」と思わず二度見してしまった。